ラストライブとして行われた後楽園球場
キャンディーズ、1978年4月4日 後楽園球場の解散コンサート
「普通の女の子に戻りたい」。人気絶頂のさなかに解散を宣言したキャンディーズは、1978年4月4日、後楽園球場の「ファイナル・カーニバル」を最後にステージを降りた。最後に歌われたのは「つばさ」だった。
公演データ
| 公演日 | [1][8][17] |
|---|---|
| 会場 | 後楽園球場(東京) |
| 公演名 | キャンディーズ ファイナル・カーニバル For Freedom [8][9] |
| 区分 | ラストライブとして行われた |
| 終わった理由 | 解散 [1][5] |
| 出演 | 伊藤蘭、田中好子、藤村美樹 [1][11] |
| 観客数 | 出典により異なる5万人(文春オンライン2017・2024)/5万5000人(日刊ゲンダイ2022、週刊文春電子版2024)。記事では両論併記。[1][6][2][9] |
| 最後に演奏された曲 | 「つばさ」 [11][13] |
| 演奏曲数 | 50曲 |
| 映像化 | あり [8][10] |
アーティストについて
キャンディーズは、伊藤蘭(ラン)、田中好子(スー)、藤村美樹(ミキ)の3人組だ[1]。渡辺プロダクションの「スクールメイツ」出身で、1972年にNHKの歌番組「歌謡グランドショー」のマスコットガールになったときに、グループ名がついた[2]。
1973年9月1日に「あなたに夢中」でデビューしたが[3][4]、しばらくはヒットに恵まれなかった。伊藤蘭は、自分たちの曲がなかなかベストテンに入らないことは分かっていたと振り返り、その時期に毎週土曜日、ザ・ドリフターズの『8時だョ!全員集合』(TBS系)に出ていたことが大きかったと語っている[4]。1975年2月21日発売の「年下の男の子」で初めてベストテン入りし[3][2]、1976年3月1日には「春一番」を出した[3]。人気が高まると、朝起きると自宅の前にファンが集まっていて、警察が出動したこともあったという[4]。
なぜ、これが最後だったのか
1977年6月、3人は所属事務所である渡辺プロダクションの渡辺晋社長に、解散したいという意思を直接伝えた。しかし社長はこれを認めず、話は平行線をたどっていたという[1]。
同年7月17日、東京・日比谷野外音楽堂でのコンサートで、3人は9月をもって解散すると突然宣言する[5]。このとき語られた「普通の女の子に戻りたい」という言葉は、解散宣言とともに今も伝えられている[1][6]。
解散の日はその後、翌1978年4月4日まで延ばされ、最終的に3人の決断は受け入れられた[5]。その間の1978年2月25日に出たラストシングル「微笑がえし」[7]は、キャンディーズにとって初めてのオリコン1位になっている[2][6]。デビューからわずか5年ほどでの解散だった[2]。
この日について伝えられていること
最後の公演は、1978年4月4日に東京・後楽園球場で行われた「キャンディーズ ファイナル・カーニバル For Freedom」だ[8]。観客数は5万人[1]とも、5万5000人[2][9]とも伝えられている。球場の外にも、チケットを持たないファンが集まり、漏れてくる音に耳を傾けていたという[9]。
日刊ゲンダイによれば、ステージはプロ野球の試合の合間に急いで組まれ、リハーサルは3時間しか取れなかったが、本番は4時間に及んだ[2]。演奏されたのは全50曲[8][10]。バックバンドはMMP(ミュージック・メイツ・プレイヤーズ)が務め、3人は何度も衣装を替えて登場した[11]。当時のキャンディーズのライブは、前半を洋楽のカバーで盛り上げ、後半でオリジナル曲を歌う構成で、この日の前半もディスコやソウル、ファンクの曲が続いた[12]。客席からは紙テープが投げられ、ファンは安全のために芯を抜いたテープを用意していた[11]。上空には記録のためのヘリコプターが飛んでいたとも伝えられる[6]。
最後に歌われたのは「つばさ」だった[11]。解散を決めた3人のためにファンが制作したレコード「3つのキャンディー」に応える曲として、ランが作詞したものだ[11]。ライターの鈴木啓之によれば、間奏で3人は声をそろえ、自分たちは本当に幸せだったと語った。そして泣きながら抱き合ったまま、ステージごと沈んで見えなくなっていったという[11]。
のちに発売された映像作品の収録曲一覧でも、本編の最後は「つばさ」で、そのあとに「エピローグ(つばさ)」が置かれている[13]。終演後には、キャンディーズはもうここにはいない、と告げるアナウンスが流れたという[11]。
この公演が残したもの
この日の全編を記録したマスターテープは、2008年にTBSの緑山制作倉庫で見つかった[8]。権利関係の整理などに7年を要し、2015年11月4日、全50曲を収めたDVDボックス『キャンディーズ メモリーズ FOR FREEDOM』として発売された。50曲のうち29曲は、それまで未発表だったものだ[10]。また解散から30年の2008年には、ファンが主催したイベントで、当時のバックバンドのメンバーがコンサート映像に合わせて生演奏を重ねる催しも開かれている[11]。
この日の音を支えたMMPは、ロックやファンクを得意とする若い演奏者の集まりだった。伊藤蘭へのロングインタビューでは、キャンディーズのライブが短い期間で充実していったのはMMPの存在が大きく、その前後でライブの世界観ががらりと変わったと語られている。同じインタビューでは、そのサウンドの組み立てを、3人の女性ボーカルを前に立てたロック/ファンクバンドそのものだとする見方も示されている[14]。解散から半世紀近くたった2024年にも、キャンディーズはライブでファンを熱狂させるロックボーカルグループだったとして、ライブ盤で聴くことをすすめる音楽コラムが書かれている[12]。MMPからはのちに新田一郎らが独立し、1979年にスペクトラムとしてデビューした。そのスペクトラムの曲も、近年は海外のSNSで話題になったことをきっかけに、再評価の機運が高まっている[15]。
3人はそれぞれの道を歩んだ。藤村美樹は解散から5年後の1983年、カネボウのCMソング「夢・恋・人。」を歌った[2]。田中好子は女優として活動を続け、2011年4月21日、55歳で亡くなった[16]。
伊藤蘭も女優として活動しながら、2019年にソロアルバム『My Bouquet』を発表し、同年6月11日、東京ドームシティホールでソロ歌手として初めてのコンサートを開いた。コンサートは解散コンサート以来41年ぶりで、会場は後楽園球場と同じ敷地にある[17]。2023年には、キャンディーズとして出場した1977年以来46年ぶりにNHK紅白歌合戦に出場し[5]、キャンディーズの曲をメドレーで歌った[18]。紅白では150人を超える古参のファンが紙テープを投げ、伊藤蘭本人に向けて投げたのは1978年4月4日以来だと、その一人は文春オンラインの取材に語っている[18]。
1978年4月4日の後楽園球場は、映像として残り、45年後の紙テープにまでつながっている。
- 活動期間(1973年〜1978年4月4日)
- ラストライブ
- 藤村美樹がカネボウのCMソング「夢・恋・人。」を歌う。5年後
- 解散コンサート全編のマスターテープがTBS緑山制作倉庫で見つかる。30年後
- 解散30年のファンイベントで、当時のバックバンドのメンバーがコンサート映像に合わせて生演奏。30年後
- 田中好子が55歳で死去。33年後
- 解散コンサート全50曲を収めたDVDボックス『キャンディーズ メモリーズ FOR FREEDOM』発売(29曲は初出)。37年後
- 伊藤蘭が東京ドームシティホールでソロ歌手として初のコンサート。解散コンサート以来41年ぶり。41年後
- 伊藤蘭が46年ぶりにNHK紅白歌合戦に出場し、キャンディーズの曲をメドレーで歌う。45年後
本編 最後の曲
- OPEN SESAME
- JUPITER
- HARD TIMES
- DO IT
- PLAY THAT FUNKY MUSIC
- DO YOU LOVE ME
- SIR DUKE
- 朝日のあたる家
- NEVER MY LOVE
- 涙の乗車券
- ある愛の詩
- FANTASY
- GOING IN CIRCLES
- 恋のあやつり人形
- 内気なあいつ
- ハート泥棒
- キャンディーズ
- 秋のスケッチ
- バイ・バイ・センチメンタル
- 片想いの午後
- 銀河系まで飛んで行け!
- 黄色いビキニ
- あなたに夢中
- そよ風のくちづけ
- なみだの季節
- キャンディ・ツイスト
- IT'S VAIN TRY TO LOVE YOU AGAIN
- 買い物ブギ
- エプロン姉さん(マキちゃんに捧げる唄)
- アンティックドール
- MOONLIGHT
- 午前零時の湘南道路
- 私の彼を紹介します
- おとうさんあなたへ
- アン・ドゥ・トロワ
- わな
- 哀愁のシンフォニー
- 悲しきためいき
- SUPER CANDIES
- ハートのエースが出てこない
- その気にさせないで
- 危い土曜日
- 微笑がえし
- 年下の男の子
- やさしい悪魔
- 暑中お見舞い申し上げます
- 春一番
- ダンシング・ジャンピング・ラブ
- あこがれ
- つばさ
映像を見る・買うPR
このリンクから商品を購入されると、当サイトに紹介料が支払われることがあります。 詳しく
キャンディーズ メモリーズ FOR FREEDOM
出典
- ご存知ですか? 7月17日はキャンディーズが解散宣言した日です — 文春オンライン(近藤正高), 2017年7月17日
- キャンディーズの軌跡(前編) 活動わずか5年、伝説の解散コンサート、それぞれの道へ — 日刊ゲンダイDIGITAL, 2022年12月18日
- キャンディーズ GOLDEN☆BEST コンプリート・シングルコレクション — Sony Music
- 「朝起きると、ファンのみなさんが家の前にいる(笑)」警察が出動したことも…伊藤蘭が振り返る、キャンディーズ時代の“ファンとの距離感” — 文春オンライン(佐藤俊), 2024年3月9日
- 「3人だから乗り越えられた」伝説の解散宣言を経て…元キャンディーズ・伊藤蘭が感じていた“世間の空気”《紅白出場》 — 文春オンライン(近藤正高), 2023年12月31日
- 「全キャン連」を復活させた男性が“キャンディーズ再結成”を望まなかったシンプルな理由「僕はむしろ絶対にイヤでしたよ」〈紅白で話題〉 — 文春オンライン(欠端大林), 2024年2月11日
- 【キャンディーズ】シングル曲人気ランキングTOP18! 第1位は「微笑がえし」に決定! — ねとらぼ, 2021年8月22日
- 伝説の解散コンサート「キャンディーズ ファイナル・カーニバル For Freedom」初の全曲収録!DVDボックスが11月4日発売!! — Sony Music, 2015年10月1日
- あの日、ファイナル・カーニバルで — 週刊文春 電子版(佐野史郎), 2024年1月
- キャンディーズ お宝DVDで“復活” — デイリースポーツ, 2015年10月1日
- 人気絶頂でステージを降りた、伝説のアイドル『キャンディーズ』解散コンサートの舞台裏 — 現代ビジネス(『週刊現代』2022年4月16日号), 2022年4月12日
- 【昭和の春うた】キャンディーズ「春一番」ライブ盤で聴くことをオススメする理由は? — Re:minder(チャッピー加藤), 2024年3月4日
- キャンディーズ メモリーズ FOR FREEDOM — Sony Music Direct(otonano)
- 【Part5】伊藤蘭が語るキャンディーズ~スペシャル・ロングインタビュー — otonano(Sony Music Direct、聞き手:大谷隆之), 2023年10月30日
- スペクトラム(SPECTRUM)“F・L・Y”の時空を超えた魅力――伝説的バンドのリバイバル理由を金澤寿和が解説 — Mikiki(金澤寿和), 2025年5月5日
- 杉浦太陽、“母”田中好子さんをしのび涙「また母さんと呼びたかった」 — 映画.com, 2011年5月1日
- おかえり!ランちゃ~ん 伊藤蘭、伝説の解散コンサート以来41年ぶりステージ — デイリースポーツ, 2019年6月12日
- 〈紅白で話題に〉キャンディーズを追い続けた男性が“45年ぶりの紙テープ”を投げるまで — 文春オンライン(欠端大林), 2024年2月11日
- CANDIES FOREVER — Sony Music Direct(otonano)
- キャンディーズ/CANDIES FOREVER — タワーレコード オンライン
更新履歴
- ページ作成(サンプル記事)