結果的にラストライブになったマーケット・スクエア・アリーナ

エルヴィス・プレスリー、1977年6月26日 インディアナポリスのマーケット・スクエア・アリーナでの最後のコンサート

1977年6月26日、エルヴィス・プレスリーはインディアナポリスのマーケット・スクエア・アリーナで、約1万8000人を前にツアー最終日のステージに立った。7週間後に42歳で亡くなったため、これが最後のコンサートになった。最後に歌ったのは「Can't Help Falling in Love」だった。

公演データ

公演日 [11][14][12][16]
会場マーケット・スクエア・アリーナ(インディアナポリス)
公演名 要確認ツアーの1公演で、この公演だけの公演名は見つかっていない。
区分結果的にラストライブになった
終わった理由死去 [11][7][1]
出演Elvis Presley [5][16]
観客数18,000人 [14][12][5][6][13]
最後に演奏された曲「Can't Help Falling in Love」 [16][14][12][5][6][2]
演奏曲数28曲
映像化 要確認公式の映像作品は見つかっていない。観客が撮った8ミリの映像があり(Indiana History Blog)、ネットでも見られる(Far Out が埋め込んでいる)。音源は2026年にFTDのCD『The Last Concert』で初めて公式に出た(ShopElvis)。CBSの特番『Elvis in Concert』は別の公演(6月19日オマハ、21日ラピッドシティ)を収めたもので、家庭用ソフトとしても正式に発売されていない(Film Threat 2011)。[12][14][16][8]

アーティストについて

エルヴィス・プレスリーは1935年1月8日、ミシシッピ州イースト・テュペロに生まれた[1]。1954年にメンフィスのサン・レコードから「ザッツ・オール・ライト」でデビューし、RCAからの最初のシングル「ハートブレイク・ホテル」(1956年)で初の全米1位を得た[1]。1950年代はテレビ、60年代は映画を中心に活動し、70年代はライブに力を注いだ。ビルボードのシングル・チャートで1位になった曲は18曲にのぼる[1]。

1973年1月14日のハワイ公演『アロハ・フロム・ハワイ』は、アジアとオセアニアに衛星で生中継された[2]。KPBSによれば、日本での視聴率は37.8%だったという[3]。ただ、エルヴィスがアメリカの外で公演したのは1957年のカナダだけで[4]、日本のステージに立つことはなかった。

なぜ、これが最後だったのか

1977年のエルヴィスは、各地を回るツアーを続けていた。6月26日のインディアナポリス公演はこの年の55回目のステージで[5]、マディソン、シンシナティと続いた中西部での3夜の最後にあたる[6]。同じツアーの6月19日のオマハ公演と21日のラピッドシティ公演は、RCAとCBSがテレビの特別番組のために収録していた[7][8]。

インディアナポリスの公演は、最後のコンサートとして告知されたものではない。ステージでエルヴィスは、ここがツアー最後の公演で、メンフィスに帰って2か月ほど休むと観客に話したという[9]。8月からはまたコンサートの予定があり[5]、次のツアーは8月17日と18日、メイン州ポートランドのカンバーランド・カウンティ・シビック・センターでの2公演から始まることになっていた[10]。

そのツアーが始まる前の1977年8月16日、エルヴィスはメンフィスで亡くなった。42歳だった[7][1]。7週間前のインディアナポリス公演が、最後のライブになった[11][12]。ポートランドの公演を待っていたファンの中には、40年たっても券を手放さずにいる人がいる[10]。

この日について伝えられていること

会場のマーケット・スクエア・アリーナは1974年9月15日に開館した屋内アリーナで、プロバスケットボールのインディアナ・ペイサーズなどが本拠地にしていた。最大の収容人数は1万8178人[13]。この公演の券が4月に売り出されたときには、12時間以上前から並んだファンがいた。最も高い券は15ドルだった[9]。

当日の観客は約1万8000人[14][12][5]。午後8時30分の開演後[12]、まずザ・スタンプスとスウィート・インスピレーションズ、コメディアンのジャッキー・カヘインが舞台に立った。2つのコーラス・グループは、エルヴィスのステージでもバックで歌った[5]。エルヴィスが現れたのは午後10時ごろだった[12]。跡地の記念プレートには、この夜の「アステカの日時計」柄のジャンプスーツ姿の写真が使われている[15]。

序奏に続く1曲目は「See See Rider」[16]。約80分のステージで、「Jailhouse Rock」「It's Now or Never」「Hound Dog」などのヒット曲や、サイモン&ガーファンクルの「Bridge Over Troubled Water」を歌った[12][14]。中盤ではバンドを紹介し、ドラム、ベース、ピアノなどのソロをはさんだ[16]。

終盤、家族やスタッフ、友人を紹介してから歌った「Can't Help Falling in Love」が、最後の曲になった[16][14][12][5]。エルヴィスは観客に再会を約束し、神の祝福を祈る言葉を残してステージを去ったと伝えられる[12][14]。Rolling Stone によれば、観客に終演を知らせる「Elvis has left the building(エルヴィスは会場を出ました)」という言葉が彼の存命中に使われたのも、この会場が最後だった[11]。

地元2紙の評は分かれた。インディアナポリス・スター紙のリタ・ローズは、エルヴィスらしい公演だったと書き[6]、歌と観客の熱気をたたえた[12]。インディアナポリス・ニューズ紙のザック・ダンキンは厳しく評したが、「Hurt」の歌唱は認めている[9]。ダンキンのもとには、ファンからの抗議の手紙が数多く届いたという[12]。

この公演が残したもの

この夜の様子は、観客が録った音源と8ミリの映像によって伝えられてきた[16][12]。テレビの撮影は1週間前のオマハとラピッドシティの公演で行われ、CBSの特別番組『Elvis in Concert』として死去後の1977年10月3日に放送された。この番組は、家庭用のソフトとして正式に発売されたことがない[8]。

2026年、レーベルのFTD(Follow That Dream)は、3枚組CD『The Last Concert』の1枚目にこの公演を収めた。観客の録音をデジタル処理したもので、最後のライブの初めての公式リリースとうたっている[16]。日本でも輸入盤として扱われている[17]。

最後の曲「Can't Help Falling in Love」(邦題「好きにならずにいられない」)は、1961年の映画『ブルー・ハワイ』で歌われた曲だ[6][2]。旋律は1784年の歌曲「愛の喜び」にさかのぼる。1970年代後半のエルヴィスは、この曲でコンサートを締めくくっていた[6]。

マーケット・スクエア・アリーナは1999年10月の試合を最後に使われなくなり、2001年7月8日に爆破解体された[18][13][19]。跡地は駐車場になったあと、2018年に28階建ての集合住宅「360 Market Square」などが建った[13][20]。

最後のコンサートを記念するプレートは、25周年の2002年に跡地に置かれた。インディアナのファンの委員会が1万ドルを集めて作ったものだ[21][15]。再開発の工事中は保管され、41周年の2018年6月26日、360 Market Square の前に戻された[22][20]。記念のタイムカプセルには、ファンの手紙や最後の公演を録ったカセットが収められ、2102年6月26日に開けられる予定だ[15]。

テレビのカメラは1週間早かったが、観客の録音で残った最後の夜は、半世紀近くたって公式の作品になった。

年表活動期間・ラストライブ・その後の出来事を、出典で確認できたものだけ並べています。
19601970198019902000201020201977年8月16日 エルヴィス・プレスリーが42歳で死去。1977年8月17日 次のツアーの初日として予定されていた、メイン州ポートランドのカンバーランド・カウンティ・シビック・センターでの2公演(8月17・18日)は行われなかった。40年後も券を持ち続けるファンがいる。1977年10月3日 6月19日のオマハ公演と21日のラピッドシティ公演から作ったCBSの特別番組『Elvis in Concert』が放送される(インディアナポリス公演の映像ではない)。家庭用ソフトとしては正式に発売されていない。1999年10月 マーケット・スクエア・アリーナでインディアナ・ペイサーズの最後の試合(ユタ・ジャズとのプレシーズン戦)。会場は使われなくなる。2001年7月8日 マーケット・スクエア・アリーナが爆破解体される。2002年 公演から25年の年に、会場の跡地に最後のコンサートを記念するプレートが置かれる。インディアナのファンの委員会が1万ドルを集めて作った。2018年6月26日 公演から41年の日に、跡地の再開発で保管されていたプレートが、新しい建物「360 Market Square」の前に戻され、再び献呈される。記念のタイムカプセルは2102年6月26日に開けられる予定。2026年 FTD(Follow That Dream)の3枚組CD『The Last Concert』で、この公演が初めて公式に発売される。観客が録った音源をデジタル処理したもの。1977年6月26日19601980200020201977年8月16日 エルヴィス・プレスリーが42歳で死去。1977年8月17日 次のツアーの初日として予定されていた、メイン州ポートランドのカンバーランド・カウンティ・シビック・センターでの2公演(8月17・18日)は行われなかった。40年後も券を持ち続けるファンがいる。1977年10月3日 6月19日のオマハ公演と21日のラピッドシティ公演から作ったCBSの特別番組『Elvis in Concert』が放送される(インディアナポリス公演の映像ではない)。家庭用ソフトとしては正式に発売されていない。1999年10月 マーケット・スクエア・アリーナでインディアナ・ペイサーズの最後の試合(ユタ・ジャズとのプレシーズン戦)。会場は使われなくなる。2001年7月8日 マーケット・スクエア・アリーナが爆破解体される。2002年 公演から25年の年に、会場の跡地に最後のコンサートを記念するプレートが置かれる。インディアナのファンの委員会が1万ドルを集めて作った。2018年6月26日 公演から41年の日に、跡地の再開発で保管されていたプレートが、新しい建物「360 Market Square」の前に戻され、再び献呈される。記念のタイムカプセルは2102年6月26日に開けられる予定。2026年 FTD(Follow That Dream)の3枚組CD『The Last Concert』で、この公演が初めて公式に発売される。観客が録った音源をデジタル処理したもの。1977年6月26日
  1. 活動期間(1954年〜1977年6月26日)
  2. ラストライブ
  3. エルヴィス・プレスリーが42歳で死去。
  4. 次のツアーの初日として予定されていた、メイン州ポートランドのカンバーランド・カウンティ・シビック・センターでの2公演(8月17・18日)は行われなかった。40年後も券を持ち続けるファンがいる。
  5. 6月19日のオマハ公演と21日のラピッドシティ公演から作ったCBSの特別番組『Elvis in Concert』が放送される(インディアナポリス公演の映像ではない)。家庭用ソフトとしては正式に発売されていない。
  6. マーケット・スクエア・アリーナでインディアナ・ペイサーズの最後の試合(ユタ・ジャズとのプレシーズン戦)。会場は使われなくなる。22年後
  7. マーケット・スクエア・アリーナが爆破解体される。24年後
  8. 公演から25年の年に、会場の跡地に最後のコンサートを記念するプレートが置かれる。インディアナのファンの委員会が1万ドルを集めて作った。25年後
  9. 公演から41年の日に、跡地の再開発で保管されていたプレートが、新しい建物「360 Market Square」の前に戻され、再び献呈される。記念のタイムカプセルは2102年6月26日に開けられる予定。41年後
  10. FTD(Follow That Dream)の3枚組CD『The Last Concert』で、この公演が初めて公式に発売される。観客が録った音源をデジタル処理したもの。49年後
セットリスト28曲 [16][12][14][5]
1. Also Sprach Zarathustra2. See See Rider3. I Got a Woman / Amen4. Love Me5. Fairytale6. You Gave Me a Mountain7. Jailhouse Rock8. O Sole Mio / It's Now or Never9. Little Sister10. Teddy Bear / Don't Be Cruel11. Release Me12. I Can't Stop Loving You13. Bridge Over Troubled Water14. Introductions of Musicians15. Early Morning Rain16. What'd I Say17. Johnny B. Goode18. Drum Solo19. Bass Solo20. Piano Solo21. I Really Don't Want to Know22. Electric Piano Solo23. Orchestra Solo24. Hurt25. Hound Dog26. Introductions of Family, Staff & Friends27. Can't Help Falling in Love28. Closing Vamp

本編 アンコール カバー 最後の曲

  1. Also Sprach Zarathustra · エルヴィスが登場する前の序奏。公式盤の1曲目で、曲数に数えない
  2. See See Rider
  3. I Got a Woman / Amen · メドレー。公式盤の表記どおり1項目にした
  4. Love Me
  5. Fairytale
  6. You Gave Me a Mountain
  7. Jailhouse Rock
  8. O Sole Mio / It's Now or Never · メドレー。公式盤の表記どおり1項目にした
  9. Little Sister
  10. Teddy Bear / Don't Be Cruel · メドレー。公式盤の表記どおり1項目にした
  11. Release Me
  12. I Can't Stop Loving You
  13. Bridge Over Troubled Water · カバー: Simon & Garfunkel
  14. Introductions of Musicians · バンドのメンバー紹介。曲数に数えない
  15. Early Morning Rain
  16. What'd I Say
  17. Johnny B. Goode
  18. Drum Solo · バンド紹介の中のソロ演奏。曲数に数えない
  19. Bass Solo · バンド紹介の中のソロ演奏。曲数に数えない
  20. Piano Solo · バンド紹介の中のソロ演奏。曲数に数えない
  21. I Really Don't Want to Know
  22. Electric Piano Solo · バンド紹介の中のソロ演奏。曲数に数えない
  23. Orchestra Solo · オーケストラの演奏。曲数に数えない
  24. Hurt
  25. Hound Dog
  26. Introductions of Family, Staff & Friends · 家族・スタッフ・友人の紹介。曲数に数えない
  27. Can't Help Falling in Love · 最後に演奏された曲。邦題は「好きにならずにいられない」
  28. Closing Vamp · 最後の曲に続く締めの演奏。公式盤の最後のトラックで、曲数に数えない

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    3枚組CDの1枚目がこの公演で、序奏の「Also Sprach Zarathustra」から締めの演奏までの28トラック(前座は含まない)。観客が録った音源をデジタル処理したもので、元の録音に由来する音の欠点があると断り書きがある[^src_shopelvis_lastconcert]。2枚目は1976年10月18日のスーフォールズ公演、3枚目は同年12月30日のアトランタ公演[^src_shopelvis_lastconcert]。日本では楽天ブックスなどが2026年4月20日発売の輸入盤として扱っている(品番 EPCD393)[^src_rakutenbooks_lastconcert]。

出典

  1. エルヴィス・プレスリー(プロフィール) — ソニーミュージック (確認日 2026-10-08)
  2. 全世界で衛星TV中継されたエルヴィス・プレスリーの歴史的コンサートの模様を収録した『アロハ・フロム・ハワイ』の50周年記念デラックス・エディションが本日発売! — ソニーミュージック, 2023年8月11日 (確認日 2026-10-08)
  3. Elvis, Aloha From Hawaii — KPBS, 2013年8月12日 (確認日 2026-10-08)
  4. Heartbreak Hotel — The Historical Society of Ottawa (James Powell) (確認日 2026-10-08)
  5. The King's Final Act: Remembering the Last Song Elvis Presley Ever Played on Stage — American Songwriter (Matt Friedlander), 2024年6月26日 (確認日 2026-10-08)
  6. The Last Song Elvis Presley Ever Performed Has a Special Place in Fans' Hearts — Mental Floss (Jenny Cohen), 2026年6月14日 (確認日 2026-10-08)
  7. January 2018: The King in South Dakota — South Dakota Historical Society Foundation, 2018年1月 (確認日 2026-10-08)
  8. The Bootleg Files: Elvis in Concert — Film Threat (Phil Hall), 2011年9月2日 (確認日 2026-10-08)
  9. Indianapolis Elvis plaque returned to site of final concert — WRTV (確認日 2026-10-08)
  10. Elvis fans in Maine cling to tickets 40 years after death — Maine Public (Associated Press), 2017年8月16日 (確認日 2026-10-08)
  11. Flashback: Hear Elvis Presley Sing 'Can't Help Falling in Love' at Final Concert — Rolling Stone (確認日 2026-10-08)
  12. The King's Final Bow: Elvis's Last Concert in Indianapolis — The Indiana History Blog, Indiana Historical Bureau (Justin Clark), 2016年6月24日 (確認日 2026-10-08)
  13. Market Square Arena — The Encyclopedia of Indianapolis (Joan Cunningham, Sam Opsahl), 2021年3月 (確認日 2026-10-08)
  14. "God bless, adios" – The moment Elvis Presley performed his last ever song, 1977 — Far Out Magazine (Lee Thomas), 2020年8月16日 (確認日 2026-10-08)
  15. Elvis' final concert plaque to be rededicated Tuesday — WTHR (確認日 2026-10-08)
  16. Elvis: The Last Concert FTD 3CD — ShopElvis Official Store (確認日 2026-10-08)
  17. 【輸入盤】Last Concert — 楽天ブックス (確認日 2026-10-08)
  18. Market Square Arena hosted its last Pacers game 25 years ago — WRTV, 2024年10月23日 (確認日 2026-10-08)
  19. Market Square Arena imploded — Indiana Daily Student (Cory Schouten), 2001年7月8日 (確認日 2026-10-08)
  20. Elvis Plaque to be Rededicated — Inside Indiana Business (確認日 2026-10-08)
  21. Plaque returning to final Elvis concert site in Indianapolis — WISH-TV (Associated Press), 2018年6月26日 (確認日 2026-10-08)
  22. Elvis Plaque Returns To Corner Of Alabama and Market Streets — WFYI (Robert Moscato-Goodpaster), 2018年6月26日 (確認日 2026-10-08)
  23. Elvis Presley — Rock & Roll Hall of Fame (確認日 2026-10-08)

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