結果的にラストライブになったフォックス・シアター

プリンス、2016年4月14日 アトランタのフォックス・シアターでの最後のコンサート

2016年4月14日、プリンスはアトランタのフォックス・シアターで、ピアノと歌だけの「Piano & a Microphone」ツアーの2公演を行った。1週間後に彼が亡くなったため、これが最後のコンサートになった。最後に演奏されたのは、2公演目を締めくくった「Purple Rain」だった。

公演データ

公演日 [28][19][1][7][29]
会場フォックス・シアター(アトランタ)
公演名Piano & a Microphone(アトランタ公演) [7][8][20][10]
ツアーPiano & a Microphoneツアー [7][28][9]
区分結果的にラストライブになった
終わった理由死去 [1][8][28]
出演Prince [7][19]
観客数 要確認公表された観客数は見当たらない。MPR News(AP配信)は、4,600席の会場で2公演ともすぐに売り切れたと伝えている。[19]
最後に演奏された曲「Purple Rain」 [7][17][4][29][25][15][16]
演奏曲数23曲
映像化なし [24][30][21][15]

アーティストについて

プリンス(本名プリンス・ロジャーズ・ネルソン)は、1958年6月7日にミネアポリスで生まれたアメリカのミュージシャンだ[1][2]。1977年にワーナーと契約し[2]、翌78年のデビュー・アルバム『For You』では、19歳でプロデュース、編曲、作曲、演奏のすべてを一人で手がけた。弾いた楽器は27種類にのぼる[3]。1979年には「I Wanna Be Your Lover」がヒットした[2]。

1984年に同名の映画とともに発表したアルバム『Purple Rain』は[4]、ビルボードのアルバム・チャートで24週連続1位を記録し、アカデミー賞の歌曲・編曲賞を受けた[5]。グラミー賞は7度受賞している[2]。2004年には資格を得た最初の年にロックの殿堂入りし[1]、式典ではアウトキャストとアリシア・キーズがプレゼンターを務めた[6]。

なぜ、これが最後だったのか

2016年のプリンスは、バンドを伴わず、ピアノと歌だけで回る「Piano & a Microphone」ツアーを行っていた[7][8]。1月にペイズリー・パークで試演し、2月16日のメルボルンを正式な初日としたこのツアーで、行った公演は20だった[9]。

アトランタ公演は3月29日、ツアーの新たな公演地として発表された。予定は4月7日の午後7時と10時の2公演で、券は1人2枚まで、当日に劇場で受け取る決まりだった[10][11]。2公演は当日になって延期され、1週間後の4月14日に振り替えられた[12][1]。

最後の公演と告げられていたわけではなく、4月初めに届いた特注の紫のグランド・ピアノは、ツアーに持っていく予定だった[13][14]。アトランタ公演から2日後の4月16日、プリンスはペイズリー・パークのパーティーで約200人を前に5分足らずステージに立ち、そのピアノを披露して「Chopsticks」と短いクラシック曲を弾いたが、歌はなかった[15][16]。ヤマハのクリス・ジェロによれば、人前での演奏はこれが最後になった[16]。

アトランタの公演からちょうど1週間後の4月21日、プリンスは57歳で亡くなった[1][8]。地元紙アトランタ・ジャーナル・コンスティテューション(AJC)は同じ日、1週間前の2公演が最後の公のコンサートになったと伝えている[12]。Variety や Billboard も、この夜を最後のコンサートと呼ぶ[7][17]。

この日について伝えられていること

フォックス・シアターは1929年のクリスマスに開館した劇場で、1974年に取り壊しの危機を迎えたが、主に寄付で集めた資金で翌年に再開した[18]。2公演とも4,600席がすぐに売り切れ、最も安い券でも手数料込みで100ドルを超えた[19]。

ステージには紫のベビー・グランド・ピアノと、いくつかのろうそくだけが置かれ、背後の大きなスクリーンに万華鏡のような映像が映った[20][21]。写真と動画の撮影は禁じられ、黒いスーツの案内係が通路を見回った[21]。

午後7時からの1公演目は約1時間20分。10時の回に向けて会場を入れ替える必要があり、短めだった[21][20]。幕開けは「Little Red Corvette」で、ピーナッツのテーマとして知られるヴィンス・ガラルディの「Linus and Lucy」へつないだ[21][19]。プリンスは延期をわび、ジャズ・ピアニストだった父にピアノを教えてほしいと頼んだ話もした[19]。デヴィッド・ボウイを追悼して「Heroes」を歌い[21]、ジョニ・ミッチェルの「A Case of You」も取り上げた[8]。曲目は2回のアンコールを含めて24曲で、最後は「Kiss」だった[17][20]。

午後10時からの2公演目は、別の曲目で行われた[19]。1曲目はステイプル・シンガーズの「When Will We B Paid?」。この回を見たAJCの記者アーニー・サッグスによれば、プリンスがライブで演奏したのを覚えている人はいない曲だった[22]。1公演目の冒頭のメドレーは中盤に回り、「How Come U Don't Call Me Anymore?」は観客の大合唱になった[17][9]。最後となる3回目のアンコールは「Sometimes It Snows in April」で始まり、続く「Purple Rain」は「The Beautiful Ones」「Diamonds and Pearls」とのメドレーになった[22][23]。観客も声を合わせたこの「Purple Rain」が、最後の曲になった[8][7][4]。

サッグスによれば、プリンスは宝石で飾った杖を手に、左手のこぶしを掲げてステージを去った。ろうそくと紫のピアノだけが残ったステージへ、ファンはゆっくりと歩み寄っていったという[22]。

この公演が残したもの

UltimatePrince によれば、この夜の録音は2021年の時点で、遺産管理側から公式に発売されたことがない[24]。プリンス自身は4月16日、ペイズリー・パークに集まった人々に、アトランタ公演の一つをライブ盤として出したいと話し、公演の録音30分を館内に流していた[15]。死去の翌日には観客が録った2公演目の音源がネットに出回り、Stereogum や Slate はそれをもとに曲目を伝えた[25][23]。Billboard の一覧とは数曲が異なる(セットリストの注記参照)[17]。

4月16日に披露された紫のピアノは、ヤマハの C7X を特注したものだ[13]。ヤマハは2024年1月、米国の楽器見本市 NAMM での展示を発表し[16][13]、ピアノはいまペイズリー・パークに置かれている[9]。

2018年9月21日には、ツアーと同じ言葉を冠したアルバム『Piano & A Microphone 1983』が出た。1983年に自宅で録った私的なリハーサルで、アトランタでも歌われた「Purple Rain」と「A Case of You」を含む[26]。その「Purple Rain」は、1983年8月3日のミネアポリス公演のライブ録音を手直ししてアルバム『Purple Rain』に収めた3曲の一つで、残る「I Would Die 4 U」と「Baby I'm a Star」も[4]、アトランタの2公演目で演奏された[17]。

死去から10年の2026年4月、サッグスは、最後のコンサートがいまも心に残っているとつづった[27]。

ピアノ一台の最後の夜は公式の作品になっていないが、残された曲目と証言から、その流れをたどることができる。

年表活動期間・ラストライブ・その後の出来事を、出典で確認できたものだけ並べています。
198019902000201020202016年4月16日 ペイズリー・パークで開いたパーティーに5分足らず登場。新しい紫のピアノを披露して「Chopsticks」と短いクラシック曲を弾いた(歌はなし)。アトランタ公演の一つをライブ盤で出したいと話した。2016年4月21日 プリンスが57歳で死去。2018年9月21日 1983年に自宅で録ったピアノ弾き語りのリハーサルを収めたアルバム『Piano & A Microphone 1983』発売(アトランタ公演の録音ではない)。2024年1月8日 ヤマハが、4月16日に披露された紫のピアノ(C7X)を米国の楽器見本市NAMMで展示すると発表。2026年4月21日 死去から10年。最後のコンサートを見たAJCの記者アーニー・サッグスがその夜を振り返るコラムを書き、andscape は紫のピアノがペイズリー・パークに展示されていると伝える。2016年4月14日1980200020202016年4月16日 ペイズリー・パークで開いたパーティーに5分足らず登場。新しい紫のピアノを披露して「Chopsticks」と短いクラシック曲を弾いた(歌はなし)。アトランタ公演の一つをライブ盤で出したいと話した。2016年4月21日 プリンスが57歳で死去。2018年9月21日 1983年に自宅で録ったピアノ弾き語りのリハーサルを収めたアルバム『Piano & A Microphone 1983』発売(アトランタ公演の録音ではない)。2024年1月8日 ヤマハが、4月16日に披露された紫のピアノ(C7X)を米国の楽器見本市NAMMで展示すると発表。2026年4月21日 死去から10年。最後のコンサートを見たAJCの記者アーニー・サッグスがその夜を振り返るコラムを書き、andscape は紫のピアノがペイズリー・パークに展示されていると伝える。2016年4月14日
  1. 活動期間(1978年〜2016年4月14日)
  2. ラストライブ
  3. ペイズリー・パークで開いたパーティーに5分足らず登場。新しい紫のピアノを披露して「Chopsticks」と短いクラシック曲を弾いた(歌はなし)。アトランタ公演の一つをライブ盤で出したいと話した。
  4. プリンスが57歳で死去。
  5. 1983年に自宅で録ったピアノ弾き語りのリハーサルを収めたアルバム『Piano & A Microphone 1983』発売(アトランタ公演の録音ではない)。2年後
  6. ヤマハが、4月16日に披露された紫のピアノ(C7X)を米国の楽器見本市NAMMで展示すると発表。8年後
  7. 死去から10年。最後のコンサートを見たAJCの記者アーニー・サッグスがその夜を振り返るコラムを書き、andscape は紫のピアノがペイズリー・パークに展示されていると伝える。10年後
セットリスト23曲 出典により異なる[17][25][22][23]
1. When Will We B Paid?2. The Max3. Black Sweat4. Girl5. All Day, All Night6. I Would Die 4 U7. Baby I'm a Star8. The Ballad of Dorothy Parker9. Eye Love U, but Eye Don't Trust U Anymore10. Little Red Corvette11. Dirty Mind12. Linus and Lucy13. Nothing Compares 2 U14. Cream15. Black Muse16. How Come U Don't Call Me Anymore?17. Waiting in Vain18. If I Was Your Girlfriend19. Sometimes It Snows in April20. Purple Rain21. The Beautiful Ones22. Diamonds and Pearls23. Purple Rain

本編 アンコール カバー 最後の曲

  1. When Will We B Paid? · カバー: The Staple Singers · 午後10時開始の2公演目の1曲目。午後7時開始の1公演目は別の曲目で、Little Red Corvette で始まり Kiss で終わった
  2. The Max
  3. Black Sweat
  4. Girl
  5. All Day, All Night · Billboard の曲目とAJCの記者アーニー・サッグスが挙げる。Stereogum が載せたファン録音の曲目にはない
  6. I Would Die 4 U
  7. Baby I'm a Star
  8. The Ballad of Dorothy Parker · Stereogum が載せたファン録音の曲目では、このあと Dark と Indifference が続く。Billboard の曲目にはない
  9. Eye Love U, but Eye Don't Trust U Anymore
  10. Little Red Corvette · Dirty Mind、Linus and Lucy とのメドレー。1公演目では幕開けに演奏
  11. Dirty Mind · メドレーの一部
  12. Linus and Lucy · カバー: Vince Guaraldi · メドレーの一部。ファン録音の曲目では、このあと Little Red Corvette に戻る
  13. Nothing Compares 2 U
  14. アンコールCream
  15. Black Muse
  16. How Come U Don't Call Me Anymore? · andscape によれば観客の大合唱になった
  17. アンコール 2Waiting in Vain · カバー: Bob Marley & The Wailers · ファン録音の曲目では If I Was Your Girlfriend と行き来するメドレー
  18. If I Was Your Girlfriend
  19. アンコール 3Sometimes It Snows in April
  20. Purple Rain · ここから The Beautiful Ones、Diamonds and Pearls をはさむメドレー。最後に再び Purple Rain に戻る
  21. The Beautiful Ones · メドレーの一部
  22. Diamonds and Pearls · メドレーの一部
  23. Purple Rain · メドレーの締め。最後に演奏された曲

出典

  1. Prince timeline — The Atlanta Journal-Constitution (Jill Vejnoska), 2016年4月21日 (確認日 2026-10-06)
  2. プリンス — ワーナーミュージック・ジャパン (確認日 2026-10-06)
  3. For You — prince.com (official discography) (確認日 2026-10-06)
  4. 40 fun facts about 'Purple Rain' as Prince's triumph marks its 40th anniversary — Star Tribune, 2024年 (確認日 2026-10-06)
  5. Purple Rain — prince.com (official discography) (確認日 2026-10-06)
  6. Prince — Rock & Roll Hall of Fame (確認日 2026-10-06)
  7. Inside Prince's Emotional Final Concerts Before His Death — Variety, 2016年4月 (確認日 2026-10-06)
  8. Hear Prince's Poignant, Career-Spanning Final Concert — Rolling Stone India (Ryan Reed; republished from Rolling Stone US), 2016年4月23日 (確認日 2026-10-06)
  9. Prince and his piano: 10 years later — Andscape (Keith Murphy), 2026年4月21日 (確認日 2026-10-06)
  10. Prince Adds Newest Stop To Spontaneous 'Piano & A Microphone' Tour — Live for Live Music, 2016年3月29日 (確認日 2026-10-06)
  11. Prince to play the Fox April 7th — Atlanta Music Guide, 2016年3月29日 (確認日 2026-10-06)
  12. Prince death prompts reaction from Atlanta concert community, Fox Theatre — The Atlanta Journal-Constitution (Melissa Ruggieri), 2016年4月21日 (確認日 2026-10-06)
  13. NAMM 2024: Prince's stunning custom Yamaha grand piano, the last instrument he played on stage, to go on display — MusicRadar (Ben Rogerson), 2024年1月11日 (確認日 2026-10-06)
  14. Prince's custom-made purple piano was to go on tour with him — Associated Press (via FOX 4), 2016年4月25日 (確認日 2026-10-06)
  15. Prince reportedly planned to release Atlanta Fox Theatre concert as live album — The Atlanta Journal-Constitution (Melissa Ruggieri), 2016年4月21日 (確認日 2026-10-06)
  16. The Prince Piano At NAMM — Yamaha (Jerry Kovarsky), 2024年1月8日 (確認日 2026-10-06)
  17. The Epic Set List From Prince's Final Show: Two Sets, 40-Plus Songs & Surprising Covers — Billboard (May 7, 2016 issue), 2016年5月7日 (確認日 2026-10-06)
  18. Fox History — Fox Theatre (official site) (確認日 2026-10-06)
  19. Prince's final shows: Intimate, playful with a Bowie tribute — MPR News (Associated Press), 2016年4月25日 (確認日 2026-10-06)
  20. Live Recap: Prince's Piano & A Microphone Tour, Atlanta's Fox Theatre, 4/14/16 — Paste (Bonnie Stiernberg), 2016年4月15日 (確認日 2026-10-06)
  21. Concert review: Prince enchants at intimate Fox Theatre show — The Atlanta Journal-Constitution (Melissa Ruggieri), 2016年4月14日 (確認日 2026-10-06)
  22. Sometimes It Snows In April: Last Prince concert bittersweet for reporter — The Atlanta Journal-Constitution (Ernie Suggs), 2016年4月21日 (確認日 2026-10-06)
  23. Hear Prince's final performance at Atlanta's Fox Theatre — Slate (Matthew Dessem), 2016年4月23日 (確認日 2026-10-06)
  24. 5 Years Ago: Prince Plays His Final Concert — UltimatePrince (Corey Irwin), 2021年4月14日 (確認日 2026-10-06)
  25. Stream Prince's Final Concert — Stereogum (Chris DeVille), 2016年4月22日 (確認日 2026-10-06)
  26. Piano & A Microphone 1983 — prince.com (official discography) (確認日 2026-10-06)
  27. A decade after Prince's death, his final concert still lingers — UATL / The Atlanta Journal-Constitution (Ernie Suggs), 2026年4月21日 (確認日 2026-10-06)
  28. Prince's last show was in Atlanta on April 14 — WTVM (Tanita Gaither), 2016年4月21日 (確認日 2026-10-06)
  29. Prince's Final Concert Was a Stunning Journey Through His Career — Flagpole (Jace Bartet), 2016年4月22日 (確認日 2026-10-06)
  30. Prince Discography — prince.com (official discography) (確認日 2026-10-08)

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