ラストライブじゃなかったウィンターランド・ボールルーム
セックス・ピストルズ、1978年1月14日 ウィンターランド・ボールルーム(サンフランシスコ)のステージ
1978年1月14日、セックス・ピストルズはサンフランシスコのウィンターランド・ボールルームで初めてのアメリカ・ツアーを終え、ストゥージズのカバー「No Fun」でステージを締めくくった。直後にジョニー・ロットンが脱退してバンドは分裂し、1996年の再結成まで、この夜が最後の公演だった。
公演データ
| 公演日 | [8][2][17] |
|---|---|
| 会場 | ウィンターランド・ボールルーム(サンフランシスコ) |
| 公演名 | 要確認アメリカ・ツアーの最終公演で、この公演だけの公演名は見つかっていない。 |
| 区分 | ラストライブじゃなかった |
| 終わった理由 | 解散・メンバー脱退 [8][11][14] |
| 出演 | Johnny Rotten、Steve Jones、Paul Cook、Sid Vicious [8][2] |
| 観客数 | 要確認入場者数の公表値は見つかっていない。参考: UCR(2024)は「およそ5,000人」、会場の収容人数は5,400人(San Francisco Chronicle)、チケットは売り切れ(UCR 2016)。[10][18][8] |
| 最後に演奏された曲 | 「No Fun」 [30][8][2] |
| 演奏曲数 | 14曲 |
| 映像化 | あり [21][32][33] |
アーティストについて
セックス・ピストルズは、興行師のマルコム・マクラーレンがまとめ上げたイギリスのパンク・バンドだ[1][2]。ボーカルのジョニー・ロットン、ギターのスティーヴ・ジョーンズ、ベースのグレン・マトロック、ドラムのポール・クックの4人で、1976年11月26日にシングル「Anarchy in the U.K.」でデビューし、全英38位になった[1]。
同年12月1日、クイーンの代役で出演したテムズ・テレビの生放送では、司会のビル・グランディとの2分ほどのやりとりが騒ぎになり、翌日のデイリー・ミラー紙は「The Filth and the Fury」と見出しを打った。公演の中止が相次ぎ、所属していたEMIとの契約も失った[3]。1977年4月3日には、2代目のベーシスト、シド・ヴィシャスが初ステージを踏んだ[4]。同じ年、エリザベス女王の即位25周年の祝賀のさなかに出た「God Save the Queen」は、BBCですぐ放送禁止になった[5]。
なぜ、これが最後とされたのか
1977年10月28日、ピストルズはアルバム『Never Mind the Bollocks』(邦題『勝手にしやがれ!!』)をイギリスで出した[6][7]。ローリング・ストーン誌のカバー・ストーリーに続いて、初めてのアメリカ・ツアーが組まれた[6][8]。だが、ロンドンのアメリカ大使館はビザの申請を認めず、12月17日に出るはずだった『サタデー・ナイト・ライブ』には、エルヴィス・コステロが急きょ代わりに出演した[9]。
ツアーは1978年1月5日、アトランタで始まった[2]。マクラーレンは、南部のいわゆるバイブル・ベルトのクラブにバンドを送り込み[10]、メンフィス、サンアントニオ、バトンルージュ、ダラス、タルサを回らせた[8]。UCRによれば、そうした意外な土地の方がメディアの注目を集められると考えたという[8]。公演は全部で7回[2]、西海岸はサンフランシスコの1回だけだった[10]。クックは後年、正直に言って散々なツアーで、皆疲れきっていて、早く終わらせて抜け出したかったと語っている[10]。
ウィンターランドの夜、解散はまだ発表されていなかった。ロットンはイギリスに戻る前にバンドを離れ[8]、Pasteによれば、分裂のニュースは数日後に伝わった[11]。UCRが引く自伝で、ロットンは、だまされたと感じていたのは自分の方で、ばかげた茶番をもう続ける気はなかったと振り返っている[8]。ジョーンズも後年、バンドは内側から崩れる運命にあり、グランディとの一件が終わりの始まりだったと語った[12]。シド・ヴィシャスは1979年2月2日、21歳で亡くなった[13]。
1996年、ロットン(ジョン・ライドン)、ジョーンズ、クック、マトロックの4人がセックス・ピストルズを再結成した[14][15][16]。そのため当サイトでは、この公演を「ラストライブじゃなかった」に分類している。同じ名義で再結成・再始動したものは、この区分に移すのが当サイトのルールだ。
この日について伝えられていること
ウィンターランド・ボールルームは、プロモーターのビル・グレアムの会場で[17]、ポスト・ストリートとスタイナー・ストリートの角にあった元アイスリンクだ[18]。収容人数は5400人で、オペラやボクシングにも使われてきた[18]。この夜のチケットは売り切れ、公演は地元のラジオ局KSAN-FMで同時中継された[8]。UCRは観客を約5000人としている[10]。
前座は地元のパンク・バンド2組で、ペネロピ・ヒューストンが歌うアヴェンジャーズと、のちに名を知られるアレハンドロ・エスコヴェードがいたナンズだった[17][8]。
ピストルズは「God Save the Queen」で演奏を始め[11]、「Anarchy in the U.K.」まで13曲で本編を終えた[2][19]。曲順は、公演を全編、正しい順で収めたとされる2025年の公式盤による[20]。ただ一度のアンコールは、ストゥージズの曲「No Fun」だった。UCRによれば、かなりくだけた演奏で、ロットンは歌詞に少し手を加えて歌った[8]。
演奏を終えたロットンは、客席に「Ever get the feeling you've been cheated?」(だまされた気分になったことはあるか)と問いかけた[8][17]。SF Standardによれば、ピストルズのあとにはネガティヴ・トレンドが演奏したが、そのころには観客の多くが帰っていた[17]。
この公演が残したもの
SF Standardによれば、この夜は、ベイエリアで芽生えつつあったパンクの担い手たちを奮い立たせ、そのあとにはデッド・ケネディーズ、ディルズ、ロミオ・ヴォイド、U.X.A.などの新しいバンドが次々に生まれたという[17]。ウィンターランドは同じ年の大みそか、グレイトフル・デッドの公演を最後に閉館した[18]。
この夜の映像は、日本では1998年6月20日にコロムビアからDVDとして発売され、14曲すべてが収められている。現在は廃盤だ[21]。2025年4月25日には、アトランタ、ダラス、サンフランシスコの3公演を初めて完全な形で収めたライブ盤『Live in the USA 1978』が出た[2][22]。サンフランシスコ公演は単独のLPでも発売された[19]。
1996年6月23日、ロットン、ジョーンズ、クック、マトロックはフィンズベリー・パークのステージに立ち、その録音は同じ年にライブ盤『勝手に来やがれ』として出た。30周年記念盤が2026年11月20日に発売される予定だ[16][23]。2006年にはロックの殿堂入りし[24]、ロットンは2007年から2008年にかけても、ピストルズのステージに立った[25]。
2024年8月13日と14日には、ジョーンズ、クック、マトロックがロットン抜きで、フランク・カーターをボーカルに迎え、ロンドンのライブハウス、ブッシュ・ホールを支援する2公演を行った[26][25][15]。この編成はその後ツアーに出るようになった[27]。2025年9月からの北米ツアーは中止になったが[28]、組み直された2026年の北米ツアーは「Sex Pistols Featuring Frank Carter」の名義で告知されている[29]。ライドンはこの活動を「カラオケ」と評している[28]。
1978年1月14日のウィンターランドは、1996年の再結成までの18年間、セックス・ピストルズ最後のステージだった。
- ジョニー・ロットンがイギリスに戻る前にバンドを離れ、数日後に分裂が伝わる。
- ラストライブ
- シド・ヴィシャスが21歳で死去。1年後
- 再結成したロットン(ジョン・ライドン)、ジョーンズ、クック、マトロックがフィンズベリー・パークで公演。この日の録音は同じ年にライブ盤『勝手に来やがれ』として発売される。18年後
- 日本でこの日の映像を収めたDVDがコロムビアから発売(COBY-90015、現在は廃盤)。20年後
- アメリカで公演(2025年に北米ツアーが発表されるまで、最後のアメリカ公演)。25年後
- ロックの殿堂入り。28年後
- ロットン(ライドン)を含む編成で2008年まで公演を行う(最後は2008年9月5日)。29年後
- ジョーンズ、クック、マトロックがロットン(ライドン)抜きで、フランク・カーターをボーカルに迎え、ロンドンのブッシュ・ホールを支援する2公演を行う(14日まで)。46年後
- アトランタ、ダラス、サンフランシスコの3公演を初めて完全収録したライブ盤『Live in the USA 1978』発売(日本盤は3枚組CD、UICY-80560/2)。47年後
- 「Sex Pistols Featuring Frank Carter」名義で、9月11日のダラスから10月18日のロサンゼルスまでの北米ツアーの日程を発表。48年後
本編 アンコール カバー 最後の曲
- God Save the Queen
- I Wanna Be Me
- Seventeen
- New York
- EMI
- Belsen Was a Gas
- Bodies
- Holidays in the Sun
- Liar
- No Feelings
- Problems
- Pretty Vacant
- Anarchy in the U.K.
- アンコールNo Fun
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伝説のラスト・ライヴ
日本盤DVD。収録曲一覧は公演の14曲と一致。現在は廃盤で、タワーレコードでは注文できない[^src_tower_pistols_dvd_1998]
Live In The USA 1978
日本盤3枚組CD(邦題『ライヴ・イン・ザ・U.S.A. 1978』)。サンフランシスコ公演の14曲すべてに加え、アトランタ(1月5日)とダラス(1月10日)の公演も全編収録[^src_billboardjp_pistols_usa1978][^src_theseconddisc_pistols_2025]
出典
- 45 Years Ago: Sex Pistols Unleash 'Anarchy in the U.K.' — Ultimate Classic Rock (Martin Kielty), 2021年11月26日
- Sex Pistols' American Epitaph Chronicled in New Box Set — The Second Disc (Mike Duquette), 2025年1月15日
- Revisiting Sex Pistols' Anarchy on the TV — Ultimate Classic Rock (Martin Kielty), 2021年12月1日
- 10 Things You Didn't Know About Sid Vicious — Ultimate Classic Rock (Allison Rapp), 2025年5月10日
- Top 10 Sex Pistols Songs — Ultimate Classic Rock (Dave Swanson), 2013年9月3日
- When Sex Pistols' 'Never Mind the Bollocks' Sparked a Revolution — Ultimate Classic Rock (Dave Swanson), 2015年10月27日
- セックス・ピストルズ『勝手にしやがれ!!』35周年記念盤 — タワーレコード オンライン, 2012年8月10日
- The Story of the Sex Pistols' First (and Last) U.S. Tour — Ultimate Classic Rock (Dave Swanson), 2016年1月14日
- 45 Years Ago: Sex Pistols Miss 'SNL' Gig Due to Legal Problems — Ultimate Classic Rock (Dennis Perkins), 2022年12月17日
- Sex Pistols Drummer Recalls 'Carnage' of Their Infamous US Tour — Ultimate Classic Rock (Corey Irwin), 2024年9月28日
- Watch The Sex Pistols Play Last Show of U.S. Tour on This Day in 1978, Days Before Splitting — Paste (Ellen Johnson), 2020年1月14日
- Steve Jones Believes Sex Pistols Were 'Meant to Implode' — Ultimate Classic Rock (Martin Kielty), 2022年6月23日
- The Day Sid Vicious Died — Ultimate Classic Rock (Dave Swanson), 2016年2月2日
- Sex Pistols new albums: Live in the USA 1978 — Universal Music Canada, 2025年1月14日
- Paul Cook Admits Sex Pistols Firing Glen Matlock Was 'Stupid' — Ultimate Classic Rock (Corey Irwin), 2024年9月26日
- 勝手に来やがれ(30周年記念エディション) — Billboard JAPAN(商品ページ)
- Rock of ages: The Sex Pistols, punk pioneers, played final show ever in San Francisco — The San Francisco Standard (Bill Kopp), 2022年6月18日
- It was 1978, the night they closed old Winterland — San Francisco Chronicle (SFGate)
- Live In The USA 1978 – San Francisco: Blue Vinyl LP — uDiscover Music(Universal Music の公式ストア)
- Sex Pistols / Live In The USA 1978 — SuperDeluxeEdition (Dylan McNally), 2025年1月16日
- The Sex Pistols/伝説のラスト・ライヴ — タワーレコード オンライン(商品ページ)
- セックス・ピストルズ、『ライヴ・イン・ザ・U.S.A. 1978』発売決定 — Billboard JAPAN, 2025年1月15日
- セックス・ピストルズ、『勝手に来やがれ』30周年記念エディション発売 — Billboard JAPAN, 2026年7月23日
- Sex Pistols | Rock & Roll Hall of Fame — Rock & Roll Hall of Fame
- Watch Sex Pistols Perform Their First Show Without Johnny Rotten — Ultimate Classic Rock (Lauryn Schaffner), 2024年8月14日
- Sex Pistols Are Reforming – Without Johnny Rotten — Ultimate Classic Rock (Nick DeRiso), 2024年6月3日
- Sex Pistols Announce North American Tour — Ultimate Classic Rock (Michael Gallucci), 2025年3月28日
- Sex Pistols Announce 2026 Concerts to Celebrate 50 Years of 'Anarchy in the U.K.' — Ultimate Classic Rock (Michael Gallucci), 2025年11月24日
- Sex Pistols Reset 2026 North American Tour With Frank Carter — Ultimate Classic Rock (Nick DeRiso), 2026年3月2日
- Watch the Sex Pistols' final performance from 1978 — Far Out Magazine, 2020年9月16日
- ライヴ・イン・ザ・U.S.A. 1978 — Billboard JAPAN(商品ページ)
- Sex Pistols – Live In Winterland(VHS, PNE Video, PNV 1025, 1996, UK) — Discogs
- Sex Pistols – Winterland Concert(DVD, 日本コロムビア, COBY-90015) — Discogs
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