ラストライブじゃなかったマディソン・スクエア・ガーデン
LCDサウンドシステム、2011年4月2日 マディソン・スクエア・ガーデンのフェアウェル公演
2011年4月2日、LCDサウンドシステムはニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンで、「最後のライブ」と告知した公演を行った。3時間41分に及んだステージは「New York, I Love You But You're Bringing Me Down」で幕を閉じた。バンドは5年後の2016年に再結成している。
公演データ
| 公演日 | [11][22][12][18] |
|---|---|
| 会場 | マディソン・スクエア・ガーデン(ニューヨーク) |
| 公演名 | LCD Soundsystem: The Long Goodbye [8][14] |
| 区分 | ラストライブじゃなかった |
| 終わった理由 | 解散 [11][8][9][25][6][31][15][17] |
| 出演 | James Murphy、Pat Mahoney、Nancy Whang、Al Doyle、Gavilán Rayna Russom、Tyler Pope [19][21][18][22] |
| 観客数 | 19,000人 [12] |
| 最後に演奏された曲 | 「New York, I Love You But You're Bringing Me Down」 [18][12][20][28] |
| 演奏曲数 | 28曲 |
| 映像化 | あり [25][26][22] |
アーティストについて
LCDサウンドシステムは、ニューヨークのジェームス・マーフィーが率いるバンドだ。マーフィーはDJやパーティーの主催を経て、レーベルのDFAも持つ。26歳でいったんバンド活動から離れたが、30代前半になって、人の音楽に文句を言うより自分で作ろうと決め、2002年、8分あまりのユーモラスなシングル「Losing My Edge」でこのバンドを始めた[1][2]。
2005年1月の1作目『LCD Soundsystem』は、それまでのシングルを2枚目に集めた2枚組だった[2]。2007年の2作目『Sound of Silver』には、Stereogumがバンドを象徴するアンセムと呼ぶ「All My Friends」や、「New York, I Love You But You're Bringing Me Down」が入っている[3]。2010年の3作目『This Is Happening』は全米チャートで最高10位と、それまでの最高位を記録した[4]。
なぜ、これが最後とされたのか
2010年1月、マーフィーはNMEに、次のアルバムがLCD名義で最後になるかもしれず、続くツアーもおそらく最後だと語った。変化が必要で、同じことを繰り返したくないという[5]。5月に『This Is Happening』を出したあと[6]、NPRの番組で、10年で3枚の三部作はプロのバンドをやめるのにいい区切りだと話している[1]。8月1日にはフジロック・フェスティバルのWHITE STAGEに出演し、フジロック・エクスプレスは、これが最後のフジロック出演になるかもしれないと書いた[7]。
2011年2月5日、バンドは公式サイトで、4月2日のマディソン・スクエア・ガーデン公演を最後のライブにすると発表した[8]。声明は「ゲームから引退する」と告げ、葬式なら最高の葬式にしようと呼びかけた[9][10]。Resident Advisorによれば、マーフィーは終わりを決めて楽しめるようになったと語り、5年後にまた演奏したくなったらやろうとメンバーと話したこともある、と付け加えた[11]。
2月11日に一般発売されたチケットはたちまち売り切れ、転売サイトには高値が並んだ[9][12]。マーフィーはTwitterで転売業者を非難し、バンドは手ごろな値段で見られるよう、3月28日から31日にニューヨークのターミナル5で4公演を追加した[13]。これも約45分で完売した[14]。
2015年12月24日、バンドは5年ぶりの新曲「Christmas Will Break Your Heart」を発表した[15]。2016年1月にはコーチェラ・フェスティバルのヘッドライナーとして再結成が明らかになった[15][16]。マーフィーは公式サイトで、曲がたまり、パット・マホニーとナンシー・ワンに相談してLCDとして戻ることにしたと説明し、最後の公演に思いを込めたファンが、いま裏切られたと感じるのはよく分かる、とも書いた[16][17]。
同じ名義で再結成したため、当サイトではこの公演を「ラストライブじゃなかった」に分類している。
この日について伝えられていること
4月2日は土曜日で、前座はニューヨークのパンク・ファンクのバンド、リキッド・リキッドが務めた[6][18]。観客は黒か白、または黒と白の服で来るよう呼びかけられ[9]、TIMEによれば、1万9000人の客席の多くが黒い服だった[12]。
ステージには中心メンバーの6人に、合唱、弦、ホーンが加わった[19]。演奏は午後9時8分に「Dance Yrself Clean」で始まり[12]、3時間41分に及んだ[20]。マーフィーは、自分たちにはとても奇妙な体験で、皆にもそうであってほしいと語りかけたという[20]。
BrooklynVeganによれば、公演は3つのセットと2回のアンコールからなる[18]。第2セットはマーフィーのテクノ作品「45:33」が中心で[20]、コメディアンのレジー・ワッツやシット・ロボットも登場した[12][18]。第3セットの「North American Scum」では、アーケイド・ファイアがサプライズでコーラスに加わった[20][18]。アラン・ヴェガの「Bye Bye Bayou」と、ハリー・ニルソンの「Jump Into the Fire」のカバーも演奏している[18]。
最後の曲は、2回目のアンコールの「New York, I Love You But You're Bringing Me Down」だった[12][18][20]。BrooklynVeganによれば、その前にマーフィーは、父親の腕時計をしていると話した。曲が終わると天井から白い風船が降り、メンバーはほとんど気づかれないままステージを去ったという。全編は音楽サイトのPitchforkでネット中継された[18]。
この公演が残したもの
公演前後48時間のマーフィーを追ったドキュメンタリー映画『Shut Up and Play the Hits』(監督ウィル・ラヴレース、ディラン・サザーン)は[21][22]、2012年1月22日にサンダンス映画祭で初上映され[23]、7月18日に一夜限りで劇場公開された[24]。マーフィーはAP通信に、有名人にはなりたくなかったが、正しい決断だったのかは今も分からないと語っている[24]。10月9日には、映画に公演の全編映像を加えた3枚組のBlu-rayとDVDが出た[25][26]。
音源は2014年4月19日のレコード・ストア・デイに、マーフィーがミックスした5枚組LPのライブ盤『The Long Goodbye』として出た[27][28]。公演から10年の2021年4月2日には、マーフィーがバンドのFacebookで、照明機材が遅れてサウンドチェックがほとんどできなかったことや、「45:33」のためにシット・ロボットらを乗せる宇宙船を作ったことなど、当日を振り返った[29]。8月6日にはライブ盤が再発され、初めて3枚組CDになった[21][30]。
再結成後のバンドは、2017年7月29日、フジロック'17でWHITE STAGEのトリを務め、「All My Friends」で締めくくった[31][32]。9月1日に出た7年ぶりの新作『American Dream』は、Billboard 200に1位で初登場し、バンド初の全米1位になった[4][33]。2018年1月には収録曲「Tonite」で、初めてグラミー賞(最優秀ダンス・レコーディング)を受けている[34]。
「最高の葬式を」と呼びかけて開かれた一夜は、映画とライブ盤に全編が残る、活動休止前の最後の公演になった。
- 活動期間(2002年〜2011年4月2日)
- ラストライブ
- ドキュメンタリー映画『Shut Up and Play the Hits』がサンダンス映画祭で初上映。1年後
- 『Shut Up and Play the Hits』が一夜限りで劇場公開。1年後
- 映画に公演の全編映像を加えた3枚組の Blu-ray/DVD が米国で発売。1年後
- ライブ盤『The Long Goodbye』の5枚組LPがレコード・ストア・デイに発売(全28トラック)。5月にデジタル配信。3年後
- 5年ぶりの新曲「Christmas Will Break Your Heart」を発表。4年後
- コーチェラ・フェスティバルのヘッドライナーとして再結成が明らかになり、マーフィーが公式サイトで経緯を説明。新作とツアーも予告。5年後
- フジロック・フェスティバル'17の2日目、WHITE STAGE のトリを務める。6年後
- 7年ぶりの新作『American Dream』を発表。Billboard 200 で初登場1位、初の全米1位。6年後
- 「Tonite」でグラミー賞の最優秀ダンス・レコーディングを受賞(初受賞)。7年後
- 公演から10年。マーフィーがバンドの Facebook で当日の裏話を振り返る。10年後
- 『The Long Goodbye』が10周年で再発され、初めて3枚組CDに。10年後
本編 アンコール カバー 最後の曲
- Dance Yrself Clean
- Drunk Girls
- I Can Change
- Time To Get Away
- Get Innocuous!
- Daft Punk Is Playing At My House
- Too Much Love
- All My Friends
- Tired / Heart Of The Sunrise
- 45:33 Intro
- You Can't Hide (Shame On You)
- Sound Of Silver
- Out In Space
- Ships Talking
- Freak Out / Starry Eyes
- Us v Them
- North American Scum
- Bye Bye Bayou
- You Wanted A Hit
- Tribulations
- Movement
- Yeah
- アンコールSomeone Great
- Losing My Edge
- Home
- アンコール 2All I Want
- Jump Into The Fire
- New York, I Love You But You're Bringing Me Down
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Shut Up and Play the Hits
米国盤の3枚組。ドキュメンタリー映画に、公演の全編映像を加えたもの[^src_diffuser_sutpth_2012][^src_playlist_sutpth_2012]。日本盤は確認できておらず、楽天では輸入盤 Blu-ray の中古が中心
The Long Goodbye (LCD Soundsystem Live at Madison Square Garden)
3枚組CD(輸入盤)。2014年に5枚組LPで出たライブ盤の初CD化で、全28トラック[^src_nme_longgoodbye_2021][^src_tower_longgoodbye_3cd]
The Long Goodbye: LCD Soundsystem Live at Madison Square Garden
2014年のデジタル版。5枚組LPと同じ全28トラック[^src_nlm_longgoodbye_2014][^src_stereogum_longgoodbye_2014]
出典
- James Murphy: The Man Behind LCD Soundsystem — NPR Fresh Air (Hawaiʻi Public Radio 掲載), 2010年6月21日
- LCD Soundsystem Turns 10 — Stereogum (Ryan Leas), 2015年1月23日
- Sound Of Silver Turns 10 — Stereogum (Chris DeVille), 2017年3月10日
- LCD Soundsystem Earns First No. 1 Album on Billboard 200 Chart With 'American Dream' — Billboard, 2017年9月
- James Murphy says 2010 LCD Soundsystem album will be band's last — NME (Matt Wilkinson), 2010年1月14日
- LCD Soundsystem Announce Final Concert — Rolling Stone, 2011年2月
- LCD SOUNDSYSTEM — フジロック・エクスプレス'10(文:伊藤卓也、写真:森リョータ), 2010年8月6日
- LCD Soundsystem Announces Last Show Ever — mxdwn (Nick Vadala), 2011年2月5日
- LCD Soundsystem Announces Final Show — Pollstar (Sarah Pittman), 2011年2月7日
- LCD Soundsystem Will Play Their Last Show Ever at Madison Square Garden — The Village Voice (Zach Baron), 2011年2月7日
- LCD Soundsystem plans farewell concert in New York — Resident Advisor, 2011年2月7日
- The Last Concert: Indie Icon LCD Soundsystem Bids a Brilliant, Bizarre Adieu — TIME (Claire Suddath), 2011年4月4日
- LCD Soundsystem Adds More Farewell Shows — Pollstar (Sarah Pittman), 2011年2月14日
- LCD's Four Terminal 5 Dates Sell Out — NBC New York, 2011年2月22日
- LCD Soundsystem to Reunite at Coachella — Rolling Stone India (Althea Legaspi), 2016年1月3日
- James Murphy Defends LCD Soundsystem Reunion, Plots Tour, New Album — Rolling Stone Australia (Jon Blistein / Rolling Stone US), 2016年1月6日
- James Murphy Announces New LCD Soundsystem Album, Addresses Betrayal Of Fans In Blog Post — Stereogum (Chris DeVille), 2016年1月5日
- LCD Soundsystem played their final show @ MSG w/ Liquid Liquid (and Arcade Fire) -- pics, setlist, video of entire show — BrooklynVegan (Dominick Mastrangelo), 2011年4月
- LCD SOUNDSYSTEM: 10th ANNIVERSARY 5LP VINYL BOX SET REPRESS OF LIVE AT MADISON SQUARE GARDEN — Nasty Little Man (press release), 2021年7月7日
- LCD Soundsystem Pull Out the Stops for Epic Farewell Show — Rolling Stone (Rob Sheffield), 2011年4月
- LCD Soundsystem announce 10th anniversary reissue of Madison Square Garden farewell gig — NME (Will Lavin), 2021年7月7日
- LCD Soundsystem documentary about final MSG show debuting @ Sundance (watch the trailer now) — BrooklynVegan, 2012年1月
- Watch the trailer for the new LCD Soundsystem film — Uncut (Tom Goodwyn), 2012年1月12日
- In Concert Film, A Last Waltz For LCD Soundsystem — Pollstar (Associated Press), 2012年7月18日
- LCD Soundsystem's 'Shut Up and Play the Hits' Documentary Coming Out on Blu-Ray and DVD — Diffuser.fm (Joe Robinson), 2012年8月9日
- Full 3.5 Hour LCD Soundsystem Madison Square Garden Show Confirmed To Feature On 'Shut Up And Play The Hits' DVD — The Playlist, 2012年8月14日
- LCD Soundsystem Announce 5-LP Vinyl Of Final Concert — Stereogum (Miles Bowe), 2014年2月27日
- THE LONG GOODBYE: LCD SOUNDSYSTEM LIVE AT MADISON SQUARE GARDEN — Nasty Little Man (press release), 2014年2月27日
- LCD Soundsystem's MSG show was 10 years ago today (James Murphy reminisces) — BrooklynVegan, 2021年4月2日
- LCD Soundsystem to Reissue Out-of-Print 'The Long Goodbye' Live Album — Rolling Stone Australia (Jon Blistein / Rolling Stone US), 2021年7月8日
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- 【フジロックライブ&フォトレポ】帰ってきたLCDサウンドシステム。ホワイト・ステージをダンスフロアに! — Qetic(船津晃一朗), 2017年9月6日
- LCD Soundsystem's American Dream tops US album charts — Resident Advisor (Aaron Coultate), 2017年9月11日
- LCD Soundsystem: "Tonite" Wins Best Dance Recording | 2018 GRAMMYs — Recording Academy (GRAMMY.com, Brian Haack), 2018年1月29日
- Directions — Madison Square Garden
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