結果的にラストライブになったネブワース・パーク
クイーン、1986年8月9日 ネブワース・パークでの、フレディ・マーキュリーとの最後のコンサート
1986年8月9日、イングランドのネブワース・パークで「マジック・ツアー」の最終公演が開かれた。最後と告げられていたわけではないが、これがフレディ・マーキュリーを含む4人のクイーンにとって最後のコンサートになった。最後に演奏されたのは「We Are the Champions」だった。
公演データ
| 公演日 | [5][10][1] |
|---|---|
| 会場 | ネブワース・パーク(ハートフォードシャー) |
| 公演名 | A Night of Summer Magic [5][14] |
| ツアー | マジック・ツアー [1][10] |
| 区分 | 結果的にラストライブになった |
| 終わった理由 | メンバー死去 [1][11][13] |
| 出演 | Freddie Mercury、Brian May、Roger Taylor、John Deacon [15][1][37] |
| 観客数 | 出典により異なる12万人(ネブワース・ハウス2014、ABC Audio 2024)/12万人超(UCR 2019)/12万5000人(MetalTalk 2025、ネブワース・ハウスのヘンリー・リットン・コボルドの話)/16万〜20万人の推計(クイーン公式サイト)/推計20万人(uDiscover Music 2025、ユニバーサル ミュージックの商品紹介)。記事では両論併記。[15][11][10][16][1][7][17][4] |
| 最後に演奏された曲 | 「We Are the Champions」 [5][19] |
| 演奏曲数 | 25曲 |
| 映像化 | なし [8][16][9] |
アーティストについて
クイーンは、フレディ・マーキュリー、ブライアン・メイ、ロジャー・テイラー、ジョン・ディーコンの4人によるイギリスのロックバンドだ[1]。1970年に結成し、1973年にEMIと最初のレコード契約を結んで、同じ年に1枚目のアルバム『Queen』を出した[2]。
1975年のシングル「Bohemian Rhapsody」は5分55秒と長く、公式サイトも、本来ならラジオではかかりにくい長さだったと書いている[2]。それでも全英チャートで9週にわたって1位になり[2][3]、その年のクリスマスの1位にもなった[3]。1977年には「We Will Rock You」と「We Are the Champions」を両A面シングルとして発表している[2]。1985年7月、ロンドンのウェンブリー・スタジアムで開かれたライヴ・エイドのステージは、バンドの転機になったと公式サイトは記しており[2]、この出演でクイーンは世界的な人気を再び高めた[4]。
なぜ、これが最後だったのか
1986年6月に出したアルバム『カインド・オブ・マジック』は全英1位になっている[5][6]。
このアルバムに伴う「マジック・ツアー」は6月にストックホルムで始まり、英国と欧州9か国で約8週間に26公演を行った。アメリカや日本には回っていない[1]。7月にはロンドンのウェンブリー・スタジアムで2夜、27日にはブダペストで公演した。英国での需要の大きさから急きょ追加されたのが、ネブワース公演だ[7]。
最後の公演として告知されたわけではなく、当時それを知る人はいなかった[7][8]。ただブライアン・メイはのちに、ツアー中のスペインでフレディ・マーキュリーが、いつまでもこれを続けるつもりはない、たぶんこれが最後だと口にしたと振り返っている[9]。米音楽サイトのUCRによれば、ジョン・ディーコンとの口論の中での言葉で、メンバーを不安にさせたとメイは認めている[10]。
以後、フレディのいるクイーンがツアーに出ることはなく、1989年のアルバム『The Miracle』もツアーなしで発表された[11]。フレディは同年、BBCラジオ1のインタビューで、アルバムとワールドツアーを繰り返すサイクルを変えたかったと語り、ほかのメンバーはツアーを続けたがっていたことも認めている[12]。1991年11月23日、フレディは自身がエイズであることを公表し、翌24日に45歳で亡くなった[13][11]。
この日について伝えられていること
公演は1986年8月9日、ハートフォードシャーのネブワース・パークで「A Night of Summer Magic」と題して行われた[5][14]。Belouis Someが幕を開け、ビッグ・カントリーとステイタス・クォーも出演した[14][10]。4人は『カインド・オブ・マジック』のジャケットの絵柄で飾ったヘリコプターで到着し[7]、機体が上空に現れると観客は歓声で迎えたという[10]。
観客数は12万人[15][11]とも、12万5000人[16]とも伝えられ、クイーンの公式サイトは16万〜20万人という推計を挙げている[1]。
演奏は、ライヴ・エイドのあとに出したシングル「One Vision」で始まった[10]。新作からの「A Kind of Magic」「Who Wants to Live Forever」[17]に、「Under Pressure」「Bohemian Rhapsody」などが並び、フレディのボーカルの即興やギターソロ、3曲のメドレーも挟まれた。Radio Xのセットリストは、最後に流れた録音を含めて25項目ある[5]。
最後に演奏されたのは「We Are the Champions」(邦題「伝説のチャンピオン」[18])だった[5][19]。続く「God Save the Queen」は演奏ではなく、ブライアン・メイがギターで編曲したイギリス国歌の録音を、PAから流したものだ[5]。1975年のアルバム『オペラ座の夜』の最後に収められたこの録音は、以後クイーンのコンサートの幕引きに使われてきた[20]。
この日の全編を収めた公式の映像作品はない。ブライアン・メイによれば、カメラの映像は会場の大型スクリーンに映されていたのに、誰も録画しなかった。メイはこれを、バンドの歴史で最大級の失敗の一つと呼んでいる[8]。
この公演が残したもの
ネブワースの録音は1986年12月1日発売のライブ盤『Live Magic』(邦題『ライヴ・マジック』)の中心になり、1曲目の「One Vision」もこの日のものだ[21][18][5]。アルバムは全英3位に入った[22]。ただしツアーを1枚に収めるため49分19秒に詰め込まれ、「We Are the Champions」は60秒短く、「Bohemian Rhapsody」はオペラの部分を欠いている[21]。ネブワース公演の音はこのアルバムでしか聴けないと、日本盤の商品紹介は記している[4]。
同じツアーでは、ウェンブリーの2日目をテレビ局が、ブダペストをハンガリーの国営映画会社が35ミリカメラ17台で撮影し、どちらも映像作品になった[1]。そのブダペストの映画は、フレディ在籍時に撮影された最後のライブとして修復され、2026年10月30日に発売予定だ[23]。
1992年4月20日には、ブライアン、ロジャー、ジョンの3人が多くのスターとウェンブリー・スタジアムに立ち、フレディを追悼した。7万2000枚の券は6時間で売り切れ、収益は世界のエイズ患者を支えるマーキュリー・フェニックス・トラストに充てられている[24]。ジョン・ディーコンは1997年1月17日、パリでのバレエ公演での演奏を最後に人前に立たず[25]、同年に引退した[26]。ブライアンとロジャーは、2004〜09年に「クイーン+ポール・ロジャース」[27][28]、2012年からは「クイーン+アダム・ランバート」の名義で公演を重ねている[29][30]。
日本では、1975年4月17日の初来日にちなみ、この日が「クイーンの日」とされている[31]。4人での最後の来日公演は1985年だった[32]。その後もCMやドラマで曲が使われ、日本独自の編集盤『ジュエルズ』は100万枚を超えた[33]。2018年11月9日に公開された映画『ボヘミアン・ラプソディ』は[34]、日本で131億円の興行収入を記録している[35]。
ネブワースの夜は映像作品にはならなかったが、その音は『Live Magic』に収められ、40年後のいまも聴くことができる。
- 活動期間(1970年〜1986年8月9日)
- ラストライブ
- ライブ盤『Live Magic』発売。ネブワース公演の録音を中心にした内容で、全英3位。
- フレディ・マーキュリーがイビサ島のクラブで、モンセラート・カバリェと「Barcelona」を初披露。1年後
- アルバム『The Miracle』発売。クイーンはこの作品のツアーを行わなかった。3年後
- ブリット・アワードでクイーンが英国音楽への貢献を表彰される。フレディ・マーキュリーにとって最後の公の場。4年後
- フレディ・マーキュリーが45歳で死去。前日、エイズであることを公表していた。5年後
- ウェンブリー・スタジアムで「フレディ・マーキュリー追悼コンサート」。収益はマーキュリー・フェニックス・トラストへ。6年後
- ジョン・ディーコンが新曲「No-One but You (Only the Good Die Young)」の録音を最後に引退。11年後
- ジョン・ディーコンが、パリでのバレエ公演でクイーンとして最後に人前で演奏。11年後
- ブライアン・メイとロジャー・テイラーが、ポール・ロジャースを迎えた「クイーン+ポール・ロジャース」としてツアーを行うと発表(2009年まで)。18年後
- クイーン+アダム・ランバートが、キーウでのエイズ支援のチャリティー公演で最初の本格的なコンサート。26年後
- 映画『ボヘミアン・ラプソディ』日本公開。日本での興行収入は131億円。32年後
- 「クイーンの日」に合わせ、『Live Magic』が日本でSHM-CDとして再発。33年後
- 『Live Magic』の紙ジャケット仕様の初回生産限定盤が日本で発売。38年後
本編 アンコール 最後の曲
- One Vision
- Tie Your Mother Down
- In the Lap of the Gods... Revisited
- Seven Seas of Rhye
- Tear It Up
- A Kind of Magic
- Freddie's vocal improv
- Under Pressure
- Another One Bites the Dust
- Who Wants to Live Forever
- I Want to Break Free
- Impromptu
- Guitar Solo
- Now I'm Here
- Love of My Life
- Is This the World We Created...?
- (You're So Square) Baby I Don't Care / Hello Mary Lou / Tutti Frutti
- Bohemian Rhapsody
- Hammer to Fall
- Crazy Little Thing Called Love
- アンコールRadio Ga Ga
- アンコール 2We Will Rock You
- Friends Will Be Friends
- We Are the Champions
- God Save the Queen
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Live Magic
1986年12月発売のライブ盤(全15曲)の日本盤SHM-CD(2001年リマスター音源)。ネブワース公演を中心に、ロンドンとブダペストの録音も交えた構成[^src_umj_livemagic_2019]
Live Magic
紙ジャケット仕様の初回生産限定盤SHM-CD(2001年リマスター音源)。ウェンブリー(7月11・12日)、ブダペスト(7月27日)、ネブワース(8月9日)などの録音を収録[^src_umj_livemagic_2024]
出典
- Queen Live Archive: 1986 — Queen Online (official site)
- Queen — Queen Online (official site)
- BOHEMIAN RHAPSODY | full Official Chart History — Official Charts Company
- ライヴ・マジック [初回生産限定盤] [SHM-CD](UICY-80365) — ユニバーサル ミュージック
- What did Queen play at their last gig with Freddie Mercury? — Radio X, 2024年8月9日
- A KIND OF MAGIC - QUEEN (chart history) — Official Charts
- Watch: Queen The Greatest - The Magic Tour, Part 2 (Episode 34) — Queen Online (official site), 2021年11月5日
- “I'm not going to be doing this forever.” Watch a giddy Freddie Mercury warm up before his last ever show with Queen — Louder (Fraser Lewry), 2026年7月6日
- Più grandi di ‘Ben Hur’: la storia dell’ultimo tour dei Queen — Rolling Stone Italia (Luca Garrò), 2026年8月10日
- The Day Freddie Mercury Performed His Last Queen Show — Ultimate Classic Rock (Corey Irwin), 2019年8月9日
- On This Day, Aug. 9, 1986: Queen plays what would be their final show with frontman Freddie Mercury — ABC Audio (KBEAR / Rural Radio Network), 2024年8月9日
- MOJO Time Machine: Queen Deliver A Miracle! — MOJO (Fred Dellar)
- Press coverage 25 November 1991 – following Freddie’s death — brianmay.com (reproducing The Guardian, November 25, 1991), 2015年10月25日
- Which artists have played Knebworth? — Radio X, 2026年8月11日
- July 2014 — Knebworth House (Henry Lytton Cobbold), 2014年8月7日
- Knebworth House / From Deep Purple Return To Freddie Mercury Farewell — MetalTalk (Paul Monkhouse), 2025年5月21日
- ‘A Kind Of Magic’: How Queen Maintained Their Spellbinding Run — uDiscover Music (Max Bell), 2025年6月2日
- ライヴ・マジック [SHM-CD](UICY-15820) — ユニバーサル ミュージック
- Today in Music History: Queen played their last show with Freddie Mercury — The Current (Minnesota Public Radio), 2017年8月9日
- Queen The Greatest - Brian May On The Roof (Episode 47) — Queen Online (official site), 2022年2月18日
- How Queen's 'Live Magic' Became Tragic — Ultimate Classic Rock (Martin Kielty), 2019年12月1日
- LIVE MAGIC - QUEEN (chart history) — Official Charts
- Queen to show Budapest concert film as “one-day-only, live-gig-style experience” — Louder (Fraser Lewry), 2026年8月19日
- Queen Live Archive: 1992 - Present — Queen Online (official site)
- 25 Years Ago: John Deacon Plays His Final Queen Show — Ultimate Classic Rock (Martin Kielty), 2022年1月17日
- How John Deacon Became Queen's Silent Recluse — Ultimate Classic Rock (Debra Filcman), 2018年10月29日
- Queen Admit that the Paul Rodgers Era Didn't Really Work — Ultimate Classic Rock (Dave Lifton), 2014年6月14日
- Queen + Paul Rodgers = Over — MusicRadar (Total Guitar), 2009年5月14日
- Revisiting Queen's First Show With Adam Lambert — Ultimate Classic Rock (Dave Lifton), 2019年4月18日
- Queen The Greatest - Queen + Adam Lambert: The First Gig (Episode 46) — Queen Online (official site), 2022年2月11日
- 【金曜ロードショー放送】「ボヘミアン・ラプソディ」ラミ・マレックの前のフレディ役候補は誰? トリビア&見どころ紹介 — 映画.com, 2023年4月17日
- Queen Live Archive: 1985 — Queen Online (official site)
- "Queen The Greatest" Episode 15 — brianmay.com (Brian May's official site), 2021年6月25日
- 「ボヘミアン・ラプソディ」興収100億円突破!オスカー5部門選出で“奇跡の興行”は続く — 映画.com, 2019年1月23日
- 金ローで『ボヘミアン・ラプソディ』地上波初放送!ラミ・マレック&“クイーン”メンバーも喜びをコメント — MOVIE WALKER PRESS, 2021年4月16日
- Live Magic - Queen (review by Stephen Thomas Erlewine) — AllMusic
- "If I wanted to have a string sound, I had to change, unload and reload while I was playing, and that led to all kinds of problems": Queen live keyboard player Spike Edney on '80s tech, streamlining his rig and using Freddie Mercury vocal samples — MusicRadar (Ben Rogerson), 2024年8月7日
- Barcelona — Freddie Mercury (official site)
- Revisiting Freddie Mercury's Final Public Appearance — Ultimate Classic Rock (Jeff Giles), 2016年2月18日
- Queen Live Archive — Queen Online (official site)
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