ラストライブじゃなかった赤坂BLITZ
フィッシュマンズ、1998年12月28日 東京「赤坂BLITZ」 佐藤伸治の最後のステージ「男達の別れ」
1998年12月28日、フィッシュマンズは東京・赤坂BLITZでツアー「男達の別れ」の最終日を迎え、この日でバンドを離れるベースの柏原譲を送り出した。公式のCDと映像は「LONG SEASON」で終わる。翌1999年3月15日にボーカルの佐藤伸治が33歳で亡くなり、この夜が彼の最後のステージになった。バンドは2005年に茂木欣一を中心に再始動している。
公演データ
| 公演日 | [17][7][6][4] |
|---|---|
| 会場 | 赤坂BLITZ(東京) |
| 公演名 | 男達の別れ(ツアー最終日) [17][7][6] |
| ツアー | 男達の別れ [4][2] |
| 全日程 | 1998年12月27日、1998年12月28日 [2][7] |
| 区分 | ラストライブじゃなかった |
| ラストライブになった理由 | メンバー脱退・メンバー死去 [4][6][2][17] |
| 出演 | 佐藤伸治、茂木欣一、柏原譲 [2][4][17] |
| 観客数 | 要確認公表された観客数は見つかっていない。当時の赤坂BLITZは約1900人規模だった(BARKS)。[12] |
| 最後に演奏された曲 | 「LONG SEASON」 [7][13][14][15][4][2] |
| 演奏曲数 | 14曲 |
| 映像化 | あり [16][7][13] |
アーティストについて
フィッシュマンズは、1987年の初夏に明治学院大学のサークルで、佐藤伸治、小嶋謙介、茂木欣一が結成したバンドだ[1][2]。翌1988年にベースの柏原譲が加わり、1991年4月21日にシングル「ひこうき」でデビューした[2][3]。曲のほとんどは、ボーカルの佐藤が詞も曲も書いた[3]。1993年の3作目からはエンジニアの ZAK が録音を手がけ、のちに共同プロデューサーにもなった[1]。1995年にポリドールへ移ってからは、シングル「ナイトクルージング」(1995年)、アルバム『空中キャンプ』(1996年)を出している[2]。1996年10月の『LONG SEASON』は35分の1曲だけを収めたアルバムで[4]、翌1997年7月の『宇宙 日本 世田谷』が最後のスタジオ・アルバムになった[2][5]。
なぜ、これが最後とされたのか
1998年12月のツアー「男達の別れ」は、ベースの柏原譲がバンドを離れることにあわせて組まれた、全国4か所のツアーだった[4][6]。音楽ナタリーのコラムで小野島大は、脱退は音楽やバンドとは直接関係のない事情で前もって決まっていて、それがツアーの名前になったと書いている[4]。ツアーの最後は赤坂BLITZでの12月27日と28日の2日間で、28日が最終日だった[2][7]。柏原はこの日のステージを最後にバンドを離れた[4][2]。
このツアーが区切りとしていたのは、メンバーとの別れであって、バンドの終わりではなかった。しかし1999年3月15日、ボーカルの佐藤伸治が33歳で亡くなった[2][5]。フィッシュマンズは活動を止め[4]、12月28日の公演はバンドの「実質的なラストライヴ」とされるようになった[6][8]。
それでも、フィッシュマンズの名前はここで途切れなかった。ただ一人残ったメンバーである茂木欣一が、バンドにゆかりのある音楽家を集めたのである[1]。2005年8月20日、北海道の RISING SUN ROCK FESTIVAL 2005 in EZO に、ゲストのボーカリストを迎えて出演した[9][2]。茂木はこれを、佐藤の死後にフィッシュマンズの名前で再始動した最初のライブだと振り返っている[10]。以後は茂木がメインのボーカルをとり、ゲストを招いて断続的にライブを続けている[8]。同じ名義での活動が続いているため、終演録ではこの公演を「ラストライブじゃなかった」に区分し、佐藤伸治が立った最後のステージとして記録する。
この日について伝えられていること
会場の赤坂BLITZは1996年に開業したライブハウスで[11]、当時の建物は約1,900人規模、地下鉄の赤坂駅の真上にあった[12]。フィッシュマンズは2年前の1996年12月26日にも、ツアー「LONG SEASON '96〜'97」の最終日をここで迎えている[4]。
このときのバンドのメンバーは、佐藤、茂木、そしてこの日で抜ける柏原の3人だった[2][4]。公式のCDと映像に収められた演奏は14曲で[7][13]、「Oh Slime」に始まり、「ナイトクルージング」、デビュー曲の「ひこうき」、「MELODY」などを経て、12月2日に出たばかりのシングル「ゆらめき IN THE AIR」、「いかれたBaby」と続き、「LONG SEASON」で終わる[7][2]。2枚組のCDでは、最後の3曲が2枚目に分けられている[14]。
締めくくりの「LONG SEASON」は、1996年に35分の1曲だけで出したアルバムの曲で[4]、CDではこの日の演奏が41分31秒に及ぶ[15]。CD、映像、配信のどれもがこの曲で終わるが、当日の最後の曲を名指しした報道は見つかっていない。
この日のステージは、記録用に3台のカメラで撮影されていた。のちのDVDはその素材から作られ、音は ZAK、映像は川村ケンスケが手がけた[16]。
この公演が残したもの
この日の演奏は、1999年9月29日に2枚組のライブ盤『98.12.28 男達の別れ』として出た。レコード会社は、佐藤の最後のステージを収めたバンド最後の音源と紹介している[17][2]。ライブ映像集『記憶の増大』(2000年)にも、1995年から98年までの公演の映像とともに、この日の5曲が収められている[2][18]。この公演だけをまとめた映像作品は、DVD『男達の別れ 98.12.28@赤坂BLITZ』が最初で[16]、2016年11月23日にはデビュー25周年の締めくくりとして、価格を下げて出し直された[7]。ライブ盤はいまは音楽配信でも聴ける[15]。
映像は2015年10月に相模大野で、2016年2月25日には渋谷CLUB QUATTROで、大音量の「爆音上映会」としてかけられた[6]。2021年7月9日に公開された記録映画『映画:フィッシュマンズ』(手嶋悠貴監督、172分)は動員3万人を超え[3][19]、ele-king の映画評によれば、その最後の1時間にこの日のステージの映像が登場する[20]。
海外では、英 Crack 誌が2021年、このライブ盤が音楽ファンの評価サイト Rate Your Music でライブ・アルバムの1位にあり、ビーチ・ボーイズやボブ・ディランの作品より上だと紹介した。同誌は、この10年ほどのオンラインの音楽コミュニティがバンドの人気を押し上げたとも書いている[5]。
再始動後のステージには柏原譲も戻っており、2014年の RISING SUN ROCK FESTIVAL では出演者として名前が挙がっている[10]。2025年2月18日には東京ガーデンシアターで、バンド史上最大規模のワンマンライブを開いた。音楽ナタリーによれば、茂木は MC で約6,000人の観客に触れ、この夜も「LONG SEASON」が演奏され、公演は海外にも配信された[21]。翌19日に出たアンソロジー『HISTORY Of Fishmans』には、1998年12月28日の「ひこうき」が収められている[9]。同じ時期には、初めての海外ワンマン公演を台北で開くことも発表された[22]。
柏原を送り出すために組まれた一夜は、佐藤伸治の最後のステージとして、CDと映像に残っている。
- 活動期間(1987年〜1998年12月28日)
- ツアーの終わりとともに、ベースの柏原譲が脱退。
- ラストライブ
- 佐藤伸治が33歳で死去。1年後
- この日のライブ盤『98.12.28 男達の別れ』(2枚組)が出る。1年後
- ライブ映像集『記憶の増大』が出る。1995〜98年の公演から選んだ映像で、この日の5曲を含む。2年後
- RISING SUN ROCK FESTIVAL 2005 in EZO で、フィッシュマンズの名前で再始動。原田郁子、ハナレグミ、UA、忌野清志郎らがゲストで歌った。7年後
- ツアー「FISHMANS presents "THE LONG SEASON REVUE"」(東京・名古屋・大阪)。多くのボーカリストが加わり、公演は4時間を超えた。7年後
- フジロック・フェスティバルに出演。8年後
- 渋谷CLUB QUATTRO で、この日の映像の「爆音上映会」。前年10月の相模大野に続き、都内では初めて。18年後
- DVD『男達の別れ 98.12.28@赤坂BLITZ』が価格を下げて出し直される(UPBY-5055)。18年後
- 記録映画『映画:フィッシュマンズ』(手嶋悠貴監督、172分)が公開。動員は3万人を超えた。23年後
- 東京ガーデンシアターで、バンド史上最大規模のワンマンライブ Fishmans「Uchu Nippon Tokyo」。柏原譲らが出演し、公演は海外にも配信された。27年後
- アンソロジー『HISTORY Of Fishmans』(3CD+Blu-ray)が出る。この日の「ひこうき」を収める。27年後
本編 最後の曲
- Oh Slime
- ナイトクルージング
- なんてったの
- Thank You
- 幸せ者
- 頼りない天使
- ひこうき
- IN THE FLIGHT
- WALKING IN THE RHYTHM
- Smilin' Days, Summer Holiday
- MELODY
- ゆらめき IN THE AIR
- いかれたBaby
- LONG SEASON
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男達の別れ 98.12.28@赤坂BLITZ
この日の14曲を、CD・配信と同じ曲順で収める(約2時間12分。ユニバーサル ミュージック、タワーレコード)。全編かどうかを明記した公式の説明は見つかっていない。最初のDVD(UPBH-1177。HMV)を、デビュー25周年の締めくくりとして価格を下げて出し直したもの(ユニバーサル ミュージック)。
98.12.28 男達の別れ
2枚組。1枚目は「Oh Slime」から「MELODY」までの11曲、2枚目は「ゆらめき IN THE AIR」「いかれたBaby」「LONG SEASON」の3曲(ユニバーサル ミュージック)。全編かどうかを明記した公式の説明は見つかっていない。2009年3月25日に SHM-CD(UMCC-9016)でも出た(ユニバーサル ミュージック)。いまは新品が流通しておらず、購入リンクは付けていない。同じ音源は配信でも聴ける(Apple Music。14曲・2時間7分)。
男達の別れ 98.12.28@赤坂BLITZ
この公演の最初の映像作品。2枚組。記録用に3台のカメラで撮った素材から作られ、ステレオに加えて DTS 5.1ch のサラウンドを収める。音は ZAK、映像は川村ケンスケ(HMV)。発売日は確認できていない。いまは2016年の再発盤(UPBY-5055)が流通しているため、購入リンクは付けていない。
出典
- 音楽偉人伝 第14回 佐藤伸治(フィッシュマンズ)(前編) — ぴあ(音楽ナタリー配信、文・小野島大), 2019年10月31日
- フィッシュマンズ バイオグラフィー — UNIVERSAL MUSIC JAPAN
- FISHMANSのドキュメンタリー『映画:フィッシュマンズ』出演者発表&予告編到着 — Billboard JAPAN, 2021年4月21日
- 音楽偉人伝 第15回 佐藤伸治(フィッシュマンズ)(後編) — 音楽ナタリー(小野島大), 2019年
- The musical ideas on Fishmans' final album, 宇宙 日本 世田谷 (Uchū Nippon Setagaya), feel more relevant than ever — Crack Magazine(Katie Hawthorne), 2021年8月19日
- フィッシュマンズ、「男達の別れ 98.12.28@赤坂BLITZ」爆音上映会を都内で初開催 — rockin'on.com, 2016年1月28日
- 男達の別れ 98.12.28@赤坂BLITZ[DVD] — UNIVERSAL MUSIC JAPAN(商品ページ)
- フィッシュマンズのアンソロジー・アルバム『HISTORY Of Fishmans』来年2/19発売決定 — ぴあ, 2024年11月21日
- アルバム『History Of Fishmans』収録内容が公開!ワンマン第二弾ゲスト発表&ライヴビューイング開催決定! — UNIVERSAL MUSIC JAPAN, 2025年1月12日
- 北海道の大型フェス【RSR】 過去15年の締めを飾った夜明けライブ一挙公開 — Billboard JAPAN, 2014年7月25日
- マイナビBLITZ赤坂、9・22閉館 「いい思い出しかないよ!!」SNSで惜しむ声相次ぐ — ORICON NEWS, 2020年5月2日
- 赤坂BLITZ復活のこけら落としは、KREVA — BARKS, 2008年1月23日
- 男達の別れ 98.12.28@赤坂BLITZ — タワーレコード オンライン(商品ページ)
- 98.12.28 男たちの別れ [SHM-CD][CD] — UNIVERSAL MUSIC JAPAN(商品ページ)
- 98.12.28 男達の別れ (Live) - Fishmans — Apple Music
- Otokotachi No Wakare 98.12.28@akasaka Blitz : Fishmans — HMV&BOOKS online(商品ページ)
- 98.12.28 男達の別れ[CD] — UNIVERSAL MUSIC JAPAN(商品ページ)
- 記憶の増大 — タワーレコード オンライン(商品ページ)
- ドキュメンタリー『映画:フィッシュマンズ』が2月25日から配信 — Billboard JAPAN, 2022年2月10日
- 映画:フィッシュマンズ — ele-king(ジェイムズ・ハッドフィールド、水越真紀。翻訳・江口理恵), 2021年7月27日
- フィッシュマンズは進化を止めない、東京から世界に発信した最新型サウンド(ライブレポート / 写真21枚) — 音楽ナタリー, 2025年2月
- フィッシュマンズ初の海外ワンマンを台湾で開催、「CIRCLE '25」出演も決定 — 音楽ナタリー, 2025年2月19日
- 赤坂BLITZがマイナビBLITZ赤坂に名称変更 — SPICE, 2017年10月25日
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