ラストライブじゃなかったマディソン・スクエア・ガーデン
KISS、2023年12月2日 マディソン・スクエア・ガーデン(ニューヨーク)でのツアー最終公演
2023年12月2日、KISS はニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンで「End of the Road World Tour」の最終公演を行い、約5年続いた最後のツアーを終えた。ポール・スタンレーが「バンドの最後の2公演」と呼んだ2夜の2日目で、最後に演奏されたのは「Rock and Roll All Nite」だった。終演後にはメンバー4人のデジタルのアバターが披露された。ただし KISS は2025年11月、ラスベガスのファン・イベントで素顔のステージに立っている。

公演データ
| 公演日 | [2][17][18] |
|---|---|
| 会場 | マディソン・スクエア・ガーデン(ニューヨーク) |
| 公演名 | End of the Road World Tour(ツアー最終公演) [2][12] |
| ツアー | End of the Road World Tour [9][10][7][21] |
| 全日程 | 2023年12月1日、2023年12月2日 [2][12][13] |
| 区分 | ラストライブじゃなかった |
| ラストライブになった理由 | 引退 [12][3][13] |
| 出演 | Paul Stanley、Gene Simmons、Tommy Thayer、Eric Singer [2][16][18] |
| 観客数 | 20,000人 [15] |
| 最後に演奏された曲 | 「Rock and Roll All Nite」 [18][16][17] |
| 演奏曲数 | 20曲セットリストを見る ↓ |
| 映像化 | なし [20][21][9][14] |
アーティストについて
KISS は1973年1月にニューヨークで結成されたロック・バンドだ[1]。ポール・スタンレー(ギター、ボーカル)とジーン・シモンズ(ベース、ボーカル)が、ドラムのピーター・クリスとギターのエース・フレーリーを迎えた[1]。4人はキャラクターに扮したメイクと、火や血のりを使う演出で知られた[2][3]。1974年2月にデビューし、1975年のライブ盤『Alive!』(邦題『アライヴ!~地獄の狂獣』)がトップ10に入って、シングル「Rock and Roll All Nite」は全米12位になった[1][4]。1976年の『Destroyer』(邦題『地獄の軍団』)は初のプラチナ・アルバムになり、クリス作の「Beth」は初のトップ10シングルになった[1][5]。1977年の初来日では日本武道館などで公演した[6][7]。1983年の『Lick It Up』でメイクをやめ、1996年にはオリジナルの4人がメイク姿で再結集した[1]。2014年にロックの殿堂入りしている[8]。
なぜ、これが最後とされたのか
「End of the Road World Tour」は2018年9月に発表され、2019年1月31日にカナダのバンクーバーで始まった[9][10]。KISS にとっては2度目の別れのツアーで、1度目は2000年、オリジナルの4人で回ったものだった[2]。今回のメンバーは、創設メンバーのスタンレーとシモンズに、リードギターのトミー・セイヤーとドラムのエリック・シンガーを加えた4人だ[2][11]。NPR によれば、スタンレーは Ultimate Classic Rock のインタビューで、やめる理由は人間関係や音楽性の違いではなく、時間には勝てないからだと話した[3]。
ツアーは当初、2021年7月17日にニューヨークで終える予定だったが、2020年にコロナ禍で止まり、2023年末まで延びた[9]。日本では2019年12月に東京ドームなど5会場を回り、2022年11月30日には東京ドームで一夜限りの「アンコール来日公演」を行った[7][10]。スターズ・アンド・ストライプス紙は、これを日本での最後の KISS の公演と伝えた[11]。
2023年3月1日、KISS はラジオ番組「The Howard Stern Show」で、ツアーの最後をマディソン・スクエア・ガーデンでの12月1日と2日の2公演にすると発表した[12]。スタンレーはこれを「バンドの最後の2公演」と呼び、ツアーや定期的な公演はもうしないと述べたが、単発の公演の可能性は否定しなかった[12]。シモンズは、KISS は23丁目で生まれ、10ブロック先の33丁目にあるこの会場で終わるのだと話した[12]。公演の直前には、終わるのはツアーで、ブランドではないとも語った[13]。
この日について伝えられていること
2023年12月2日は土曜日で、前夜に続く2夜の2日目だった[2]。会場は売り切れで[14]、Blabbermouth によれば約2万人が集まった[15]。クイーンズのクラブから始まった KISS が初めてこの会場に出たのは、1977年2月だった[2]。公演はペイ・パー・ビューで世界に生中継された[9][14]。
この日のセットリストは「Detroit Rock City」で始まり、本編17曲とアンコール3曲の計20曲が演奏された[16][17]。『Alive!』に収められた「Deuce」「Cold Gin」「100,000 Years」「Black Diamond」も並んだ[16][4]。シモンズは火を吹き、血のりを吐いた[2]。スタンレーはハーネスで客席の上を渡り、アリーナ中央の小さなステージで「Love Gun」と「I Was Made for Lovin' You」を歌った[2][17]。アンコールでは、シンガーがステージの上に高く上がったグランドピアノのところで「Beth」を歌い[16]、「Do You Love Me」に続いて、最後に「Rock and Roll All Nite」が演奏された[18][16]。紙吹雪が舞い、スタンレーはギターを叩き壊した[2]。公演は約2時間15分[15]。オリジナル・メンバーのクリスとフレーリーは出演していない[2]。
演奏が終わると、スクリーンに新しい時代の始まりを告げる言葉が映り、メンバー4人のデジタルのアバターが現れた[2][15]。アバターは、ジョージ・ルーカスが創業した視覚効果の会社 ILM が、ABBA のデジタル公演を手がけたスウェーデンのポップハウスと組んで作ったもので[18][16]、映像には1991年に録音された「God Gave Rock 'N' Roll to You II」が流れた[18][16]。スタンレーは観客に、ロードの終わりは別のロードの始まりだと語り、これからは違う形の KISS を見ることになると話した[2]。
この公演が残したもの
2024年4月、KISS は楽曲のカタログと名前、知的財産を、ABBA のビョルン・ウルヴァースが共同で創業したポップハウスに売却した[19]。シモンズはこれを「買収」ではなく協業だと説明し、KISS として再びツアーに出ることはないと述べた[19]。アバターの公演は、当時の計画では2027年後半に北米で始まる[19]。5部構成のツアーのドキュメンタリーも作られているが[20]、2025年11月時点で公開日は未定だ[21]。2025年10月16日には、オリジナル・メンバーのエース・フレーリーが74歳で亡くなった[22]。
翌月、KISS は再びステージに立った。ラスベガスのヴァージン・ホテルズで開かれたファン・イベント「KISS Kruise: Landlocked In Vegas」(当初の名前は「KISS Army Storms Vegas」)で[23][24]、2025年11月14日に素顔のアコースティック・セット、15日に素顔のエレクトリック・セットを演奏した[25][26]。出演は最終公演と同じ4人で、それ以来初めての KISS のステージだった[25][27][23]。15日は、1984年に加わった元ギタリストのブルース・キューリックが最後の2曲に加わり、締めくくりはこの夜も「Rock And Roll All Nite」だった[26][1]。KISS の名前でのステージだったため、当サイトはこの公演を「ラストライブじゃなかった」に分けている。2026年4月には、同じイベントの2026年版(11月13〜15日)で素顔の2公演を行うことも発表された[28]。
シモンズは最終公演の前、この2夜目をメイクをした KISS の最後の出演になると話していた。ラスベガスの4人は、その約束どおり素顔でステージに立った[24][25]。
セットリスト
20曲 [16][17]本編 アンコール カバー 最後の曲
- Detroit Rock City
- Shout It Out Loud
- Deuce
- War Machine
- Heaven's on Fire
- I Love It Loud
- Say Yeah
- Cold Gin
- Guitar Solo
- Lick It Up
- Calling Dr. Love
- Makin' Love
- Psycho Circus
- Drum Solo
- 100,000 Years
- Bass Solo
- God of Thunder
- Love Gun
- I Was Made for Lovin' You
- Black Diamond
- アンコールBeth
- Do You Love Me
- Rock and Roll All Nite
- God Gave Rock 'N' Roll to You II
もうひとつの終演を読む
「最後」が最後ではなくなった公演が、ほかにもあります。
- 活動期間(1973年1月〜2023年12月2日)
- ラストライブ
- 楽曲のカタログ、名前、知的財産をポップハウスに売却。アバターによる公演は、当時の発表では2027年後半に北米から始める計画。1年後
- ツアーを追った5部構成のドキュメンタリーを制作中と伝えられる(2025年11月時点で公開日は未定)。1年後
- オリジナル・メンバーのエース・フレーリーが74歳で亡くなる。2年後
- ラスベガスのファン・イベント「KISS Kruise: Landlocked In Vegas」で、2023年12月以来初めて KISS として演奏する。14日に素顔のアコースティック、15日に素顔のエレクトリック。出演は最終公演と同じ4人で、15日は元メンバーのブルース・キューリックが2曲に加わった。2年後
- 同じイベントの2026年版(11月13〜15日、ラスベガス)で、素顔の2公演を行うと発表(2026年10月時点で開催前)。3年後
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Destroyer
本文で触れた1976年のアルバム『地獄の軍団』。最終公演で演奏された「Detroit Rock City」「Shout It Out Loud」「God of Thunder」「Beth」「Do You Love Me」を収める。この公演の録音ではない。
Alive!
本文で触れた1975年のライブ盤『アライヴ!~地獄の狂獣』(2枚組)。最後の曲「Rock and Roll All Nite」のほか、最終公演で演奏された「Deuce」「Cold Gin」「100,000 Years」「Black Diamond」のライブ録音を収める。この公演の録音ではない。
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出典
- KISS — uDiscover Music (uDiscover Team), 2020年8月30日
- Review: The long Kiss goodbye ends at New York's Madison Square Garden, but Kiss avatars loom — AP / Wayne Parry (KSAT), 2023年12月3日
- Kiss performs final concert in 'End of the Road' final tour — NPR, 2023年12月2日
- アライヴ!~地獄の狂獣 [SHM-CD] — ユニバーサル ミュージック
- 地獄の軍団 [SHM-CD] — ユニバーサル ミュージック
- 『地獄のロック・ファイアー』50周年記念ボックス・セット発売決定。幻の初来日公演実況録音盤の収録や限定特典グッズなど同梱 — ユニバーサル ミュージック, 2026年9月18日
- THE FINAL TOUR EVER KISS END OF THE ROAD WORLD TOUR(来日公演特設サイト) — ウドー音楽事務所
- KISS — Rock & Roll Hall of Fame
- KISS Announces Pay-Per-View Event For Final Show — Blabbermouth, 2023年11月9日
- KISS、東京ドームにてアンコール来日公演の開催が決定 — THE FIRST TIMES(増田勇一), 2022年8月2日
- 'Rock and Roll All Nite': Kiss delivers a final salute to loyal fans at Tokyo Dome — Stars and Stripes (Koichi Kuriyama), 2022年12月15日
- Watch KISS Announce Final Concert Ever: 'This Is The End' — Blabbermouth, 2023年3月1日
- Watch: KISS Lights Up Empire State Building In Honor Of Band's Final Shows Ever — Blabbermouth, 2023年11月30日
- PAY-PER-VIEW REPLAY OF "KISS: END OF THE ROAD" AT MADISON SQUARE GARDEN — PPV.COM / iNDEMAND, 2023年12月11日
- KISS Shares 20-Minute Recap Video Of Last-Ever Concert — Blabbermouth, 2024年12月2日
- Here's what went down at KISS' final ever show as humans — NME (Alex Rigotti), 2023年12月4日
- One Last KISS for Madison Square Garden: Legendary Rock Band Plays Last Show At Home — NYS Music (Michael Singer), 2023年12月4日
- KISS Reveal New Era of Band as Avatars During Final New York City Show — American Songwriter (Tina Benitez-Eves), 2023年12月3日
- Kiss sells catalog, brand name and IP. Gene Simmons assures fans it is a 'collaboration' — AP / Maria Sherman (WDIV ClickOnDetroit), 2024年4月3日
- Kiss Working on Five-Part 'End of the Road' Tour Documentary — Ultimate Classic Rock (Matthew Wilkening), 2024年10月7日
- KISS Manager On Upcoming Farewell Tour Documentary: 'You'll See A Whole Different Side Of KISS Than What We're Used To Seeing' — Blabbermouth, 2025年11月16日
- 【KISS】ジーン・シモンズ&ポール・スタンレー、エース・フレーリーを追悼「かけがえのないロック戦士」 — THE HOLLYWOOD REPORTER JAPAN, 2025年10月17日
- KISS Rebrands Las Vegas Fan Gathering as 'KISS Kruise XII,' Adds Acoustic Reunion Show, Quiet Riot, Ratt Members to the Event — American Songwriter (Matt Friedlander), 2025年7月9日
- GENE SIMMONS Confirms KISS Will Play Without Makeup In Las Vegas: 'We Will Hold True' To Our 'Promise' — Blabbermouth, 2025年3月28日
- Kiss reunites at Las Vegas event — Las Vegas Review-Journal (John Katsilometes), 2025年11月18日
- Watch: KISS Joined By BRUCE KULICK During Electric 'Unmasked' Set At 'KISS Kruise: Landlocked In Vegas' Event — Blabbermouth, 2025年11月16日
- Full KISS Lineup to Reunite for Performances at Band's Vegas Festival — Consequence (Jon Hadusek), 2025年11月10日
- KISS To Perform Two 'Unmasked' Shows At 2026 'KISS Kruise: Landlocked In Vegas' — Blabbermouth, 2026年4月16日
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